3回シリーズに解説している【THE警察面接室】です。
第1回では、
- 面接室に入るまでに必ず押さえておきたい「4つの基礎準備」
- 「面接官を操る『悪魔の心理学』」…第一印象の重要性
について解説しました。
第2回では、コスパ最高!面接室の入室要領について解説しました。
今回は、シリーズの第3回で、警察流の『退室』マナー」を解説します。「たかが入退室・されど入退室」です。普通の入退室マナーは知っていても、警察流のマナーを知っている人はいません。警察流のマナーは、面接試験であなたの想像以上に影響を与えます。
これを知らないライバルに差をつけたいです。
「退出」マナーなんて、どこでも一緒でしょ
大事なんですか!?
警察の面接が他と違うところです
軽視は大ケガの元です…
点数がアップするなら教えてほしいです
知っておいて「得」なことなんですよね
これを知らないライバルに差をつけさせます!
最少努力で最大効果!
コスパ最高なんですよ
警察には、警察流のマナーがあります。私たち警察官は、警察学校で警察流マナーを徹底的に学びます。面接官も警察官1年生の時には警察学校で警察流マナーを体に叩き込まれています。また面接官は、普段は警察本部や警察署の幹部として、若い警察官のマナー指導に毎日当たっています。面接官には、自然と「警察流マナー」で若い人を見る(指摘する)習慣が身についています。つまり、警察の上司として、ほぼ条件反射的に受験生のマナーをチェックしてしまうのです。
わたしは普段は警察署の署長をしている
若い警察官のマナーを毎日チェックする立場だ
わたしは普段は警察学校の学校長だ
新人警察官に毎日マナーを厳しく指導している
私は、34年間勤続した元警察官です。うち7年間を警察本部の人事課で勤務しました。人事課では、主に採用試験を担当しました。採用試験の裏側や面接官の裏事情・心理まで深く通じています。この私が、本当に合格に必要な知識のみをお伝えしています。
(心の声)今の受験生…「○」にしようか「△」にしようか迷うな…
↓(あなたの退室の姿を見て)
いま退室は良かったな!よし「○」にしよう!
こういったことが本当に起こっているのです!
「去り際」「退室姿」は本当に大切なんですよ!
もしかすると、「警察流マナー」と聞いて、「難しそうだな」「自分でできないな」と思われるかもしれません。でも、安心してください。確かに自力で「完璧」にマスターすることは、警察学校に入るまで誰にもできないことです。でも、押さえてほしい要点は簡単なことばかりです。それに、「頭の片隅」にこの知識を置いておくだけで良いのです。意識があるかどうかだけで、人の動作と言うのは全然違ってくるものですから。
「警察流マナー」って難しそう…
ぼくにもできるでしょうか!?
大丈夫ですよ
簡単なことばかりですから安心してください
完璧にはできそうにないです…
ライバルに差をつけるほどにできるでしょうか?
ほんのちょっとの差で面接官の印象が全く違ってきます
「ほんのちょっとの差」で「抜群の効果」を目指します
面接官を悪魔の心理学で操ります
この記事を読むと、「最後の去り際」に面接官が何を考えているか、なぜ面接官はあなたの入退室マナーに「操られ」てしまうかが分かります。また、あなたは自信をもって入退室の要領を知ることができ、これを知らないで受験するライバルに大きな差をつけ、そして最終的に、面接試験で好結果を残すことができます。
マークシートや論文試験、面接の問答準備などには、多くの勉強時間と準備時間を要します。しかし、入退室マナーはこの記事を読むだけで大きな加点が期待できます。コスパ最高です。ぜひ学んで持って帰ってください。
なお、今回の記事は【THE警察面接室】シリーズの第3回です。第1回と第2回とセットになっています。もっと知りたいと思われる方は、ぜひ第1回・第2回もお気軽に目を通してみてください。特に、面接試験直前に読むとあなたの得点力アップに威力を発揮しますよ。
- 【THE警察面接室】第1回「警察流面接マナーの基本」 ←おススメ記事
- 【THE警察面接室】第2回「警察『入室』マナー」 ←おススメ記事
面接試験はこの1本で完成
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【面接官を操る悪魔の心理学】「最後の10秒間」の魔力
最後の10秒間の大切さ
第2回の入室マナーでは「最初」の10秒間の大切さについて解説しました。今回は、退室時の「最後」の10秒間です。あなたの「去り際」…最後の10秒間の印象があなたの結果に影響を及ぼします。
面接官があなたの面接を終えて「○」か「△」か迷います。その時あなたの評定を「○」にワンプッシュするのが、この最後の10秒間です。
最初に、「最後の10秒間」の定義です。
面接官に「終了です」と言われてから、退室し、ドアを閉めるまでの時間
この10秒間をいいます。
第2回の入室マナー編では、心理学の「初頭効果」と「メラビアンの法則」で面接官の心理を操る、という話をしました。今回の退室マナーでは、同じく心理学の「新近効果」を使います。私は臨床心理士や公認心理師など心理資格を持っています。普段は、警察受験生の指導だけではなく、別に心理カウンセリング活動を行っています。本シリーズの解説では、人事課歴7年の経験と心理カウンセラーの知見をフル活用した内容にしています。
「新近効果」を活用して面接官を操る
最後の10秒間の中心である「新近効果」という心理効果について簡単に解説します。言葉は聞きなれないかもしれません。でも、その意味だけ覚えておいておいてほしいです。面接対策で役に立ちますから。
最後に提示された情報が、一番印象・記憶に残りやすい
「親近効果(しんきん)」…名前は忘れてしまって構いません。要点だけ覚えておいてください。
面接官は、あなたの「最後の印象」から心理的に逃れられない
…良くも悪くも、です
ということです。
もしかすると、これまで「最後の10秒間」というのをあまり意識していなかったかもしれません。面接試験というと、誰しも「質問されて→答えて」のことしかイメージできていものです。
しかし、面接官との問答は、面接試験の一部にすぎません。第1回及び第2回でも解説しましたが、面接官と言うは、案外あなたの「言葉」は覚えていないものです。「メラビアンの法則」では、初対面の人の印象は「言葉7%・ボディランゲージ93%」由来のものだということが心理学的に証明されています。
「質問」ー「回答」の問答だけが面接試験ではありません。入室マナーや退室マナーも、立派な面接試験の審査対象なのです。軽視しないようにしましょう。
面接では「ボディランゲージ」の配点高い!
特に退室時の印象は面接官の心に強く残る!
科学的データから分かる「新近効果」の力
少しだけ科学的なデータをご紹介します。難しい話はしませんので安心してください。科学的データから「新近効果」の効果について直感的にわかればいいなと思っています。
こちらは、「忘却曲線」で有名なH.エビングハウスというドイツの心理学者がまとめたデータです。「系列位置効果(けいれついち)」…すこし難しい専門用語ですが、そんな用語は覚えなくて大丈夫です。つまり、時間を「最初→真ん中→最後」の順番系列に並べて、「人っていつのことを一番覚えているかな」といったことを実験したのです。
(エビングハウス「系列位置効果」実験 一部抜粋)
最初の10秒間 | 前半途中 | 後半途中 | 最後の10秒間 | |
記憶再生率 | 0.9 | 0.4 | 0.35 | 1.25 |
心理効果 | ↑初頭効果 | 印象薄い | 印象薄い | ↑新近効果 |
実験の詳細はすべて割愛します。ここであなたに知ってほしいことは、最初の10秒(入室)と最後の10秒(退室)の印象・記憶が抜群だということです。その中でも、特に「最後の10秒間」…つまり退室の時の印象があなたの印象全体を決定するほど重要だとわかります。意外に思うかもしれませんが、途中の印象…つまり面接官とのやりとりは意外なほど記憶に残りにくいのです。だから、退室時のマナーは絶対に頭に入れておかないといけないのです。
「最後の10秒間」は合否に直接影響与える
退室時の印象で「採用か不採用か決まる」と思え!
面接直後のメンタルリハーサル
終了直後に陥りやすいメンタル状態
「すべて完璧でした」という受験生はまれです。面接官から15分間、あなたのことについて深く問われるのですから、多かれ少なかれ誰しも心は波立つものです。そして、その反応でもっとも多いのが「うまく話せなかった」「言いたいことが言えなかった」といった後悔・失敗感や、「面接官が不機嫌そうだった」「私は第一印象が悪いので…」などといったマイナスの自責反応です。
面接試験当日、あなたもこういった心理状態に追い込まれているのでしょうか…?
- 反応が良かった面接 → 普通のメンタル
- 反応が今一つだった面接 → 後悔・失敗感
- 圧迫面接 → 打ちのめされる
厳しい質問ばかりで…「うまく話せなかった」て思った
打ちのめされて小声で挨拶して退室していました…
去年は圧迫面接で…
終わった時には「ダメだ」って思って…
意気消沈したのが声にも顔にも出たと思います
「たった1つ」のイメージトレーニング戦略
実は、こういった反応はあなただけではありません。面接終了直後は、ほとんどの受験生がこういったメンタルに追い込まれます。試験の15分間、面接官から様々なことを聞かれるのですから、心が波打って当然です。普通の人の反応です。ただ、人によって反応が異なります。面接官との相性といった運不運の要素も若干あってメンタルにも影響します。
しかし、たとえどんな面接官でも、どんな厳しい質問があっても、どんなにメンタルが揺さぶられる瞬間があっても、絶対に守らなければならないことがあります。それは、最後「元気いっぱいに退室する」ということです。試験を受ける前に、どんな質問があっても、どんなに失敗しても、ぼくは(私は)絶対に「元気いっぱいに退室する」と心に決めておくことです。
元気いっぱいに退室する自分の姿を、イメージトレーニングで何度も思い描いてください。これは、あなたを受験に強くする「たった1つ」のメンタルトレーニングです。
- キツイ質問
- 圧迫面接
- あー失敗した!
は事前に「織り込み済み」にしておき
「当日は絶対に元気いっぱいに退出する!」と心に決めておく
↑これがあなたがする「たった1つ」のイメージトレーニングです
面接の最後を元気いっぱいに締めます!
これが面接官の心をわしづかみにしますよ
これが警察流「退室マナー」
それでは、警察流退室マナーについて解説します。ここでは、第1回・第2回でも解説した警察流マナー「警察礼式」と、悪魔の心理学「新近効果」をブレンドします。最後の最後のあなたの「去り際」「後ろ姿」に、面接官が良い印象を持つこと、それが面接試験の最後の狙いです。さあ、ライバルに差をつけましょう。
退室要領「11つの流れ」
退室時に気を付けたいポイントは全部で11個あります。11個と言うと「たくさんあるな」と思われるかもしれません。でも大丈夫です。基本的なことばかりです。たった10秒間の「流れ」ですので、まずは気軽に読み進めてください。
11もポイントがあるんですか…
覚えられるか心配です
安心してください。11個ありますが本当に基本的なことばかりです
でもこの「基本」ができていない人が多いからチャンスなんです
①立ち上がった瞬間 試験の記憶はいったん『全消去!』
「これで終了します」「それでは結構です」などと試験終了を告げられ、退席を促されます。そしてあなたは立ち上がり、再び椅子の横に立ちます。
この瞬間です!
立ち上がる瞬間、15分間の面接試験のことはすべて忘れてください。15分の記憶をいったん全消去します。ここは大事です。面接試験は面接試験、退室マナーは退室マナー。別のものです。別の科目と思っても良いでしょう。立ち上がった瞬間、最後の元気な退室に全集中します。これが、面接試験で誰も教えてくれない重要なところです。
しかしこの切り替えは、頭でわかっていても、本番ではなかなか難しいものです。そこで、先ほどのイメージトレーニングを思い出してください。面接試験のことは、立ち上がった瞬間すべて忘れて切り替えて、「元気いっぱいに退室する」イメージでしたね。ここの切り替えは本当に大事ですよ。
【あなたへのアクションプラン】自宅で「椅子に座って立つ」練習を行ってください。そして、立ち上がる瞬間に「全消去!」「全集中!」と声に出して言ってください。これを繰り返し練習してみてください。
椅子から立ち上がる瞬間に、15分間のイマワシイ記憶を全消去!
切り替えバッチリ!
元気な退室に全集中!
②椅子の横に凛と立つ
立った瞬間には、もう面接のことは覚えていません!。ここからは、元気な退室に全集中です。立ち方は、入室時に挨拶をした時と同じです。立ち姿のポイントを押さえます。
- 「頭頂からワイヤーで吊るされた」ように
- まっすぐ、中央の面接官を見る
- 指先までピンッと緊張
キリっと気を付けをします。これを警察礼式では「静体(せいたい)」といいます。「一瞬」だけ全身を緊張させて「1本の棒」になりましょう。警察礼式では「メリハリ」を重要視します。「立つ→止める→お辞儀→頭上げ…」などと1つ1つの動作を1つずつ行い、それを連続させる。これでメリハリがある動きに見せることができます。座っている時には面接官から分かりにくかったあなたの真剣さやこれに掛ける緊張感を、面接官に身体で伝えます。
椅子の横で「気を付け」の姿勢で美しく立つ
- この立ち姿の緊張が「面接時間中の私の緊張感」ですと面接官にアピール
③元気いっぱい大きな声
元気いっぱいの大きな声で「ありがとうございました!」と言ってください。これまで15分間…いろいろあった相手ですが、カラっと切り替えて腹の中から大きな声を出します。「カラ元気」でも良いですよ。
ここは重要です!
必ず大きな声で言ってください。面接官に感謝の気持ちも込めましょう。とにかく元気いっぱい「ありがとうございました」と言ってください!
気合を込めて「ありがとうございました!」
- この瞬間に合否が決まる!と思って
④ここでお辞儀する
警察礼式では、脱帽の敬礼は、角度30度・時間3秒間と定められています。意識できたらなお良くなります。
「バネで弾かれる」ようなお辞儀
- 角度「30度」
- 時間「3秒間」
- バネで弾かれたように頭を上げる
なお、警察礼式では「ならがお辞儀」はNGです。必ず、「ありがとうございます」と言ってから → お辞儀をします。くれぐれも、頭を下げながら言うことのないように気を付けてください。
「ありがとうございました」
↓(言葉が終わったら)
お辞儀
- お礼の言葉とお辞儀は分けて行う
- 「ながら」お辞儀はしない
⑤ドアまでの「後ろ姿」
お辞儀が終わったら、ドア(警視庁・大阪府警などはパーテーションの入口)の方へ歩いていきます。あなたの「後ろ姿」を面接官はずっと見ていますよ!入室マナーでも解説をしましたが、あなたはもう警察官や警察行政職員です。なった気持ちで胸を張り堂々と歩きましょう。その時、自分の姿に注意してください。
- 胸を張る
- 背筋を伸ばす
- 前を見て歩く(下を向かない)
- 指先・つま先まで緊張
歩き方や行進は「警察礼式」の基本です。「警察官は美しくあれ!」と言われます。
【あなたへのアクションプラン】自分の歩く姿を、スマホで動画撮影してみてください。そして、自分の歩く動画を見て、上のポイントに合致しているか厳しく自己採点してください。胸を張って、しっかり前を見て、頭のてっぺんからつま先・指先まで緊張させて、かつ堂々と歩いているでしょうか。動画で確認しましょう。
⑥ドアの前で正対して気を付け
ドア(パーテーションの入口)まで来たら、「回れ右」で面接官の方を向いて「気を付け」の姿勢を取ります。視線は、中央の面接官を見ます。ここで、慌てないでください。慌てて急いで退出したりしてはダメです。
ここでも、気を付けをしたら一瞬静体して、動作を止め、直立不動になります。
- 全身に緊張を巡らせてください
- 指先までピンと伸ばしてください
- 目に力を込めて中央の面接官をしっかり見つめます。
焦らずに「一瞬の間」を作りましょう。
面接官の方を向いたら「気を付け」の姿勢
- 気持ちを落ち着け「静体」に「一瞬の間」を作ろう
- 最後の最後まで、あなたの緊張感・真剣さをアピールできる
⑦元気な声で「失礼します!」
気を付けの姿勢で静体したら、その一瞬後に、再びあなたの「元気いっぱいで大きな声」の登場です。面接官に向かって「失礼します!」を言います。大事なことなので、何度も繰り返していますが、必ず「元気いっぱいで大きな声」でお願いします。
聴覚の印象は、とても強く残るのです!(第1回「警察流面接マナーの基本」で視覚・聴覚は言葉より強く印象に残るということを詳しく解説しています)。最後の瞬間まで、真剣で緊張感のある表情で「失礼します!」と伝えてください。
必ず!元気いっぱいの大きな声で「失礼します!」
- 元気で大きな声でなかったら面接官の印象にとまらない
なお、「失礼しました」と言う受験生もいます。「失礼します」でも「失礼しました」でも、どちらでも良いと思います。ただ、私は「失礼します」を推奨しています。「失礼しました」では、何か本当に粗相なことをしてしまったような印象になるからです。もしどちらを言おうか迷っておられるなら、失礼しましたではなく「失礼します」をお勧めします。
なお、すみません。「まだだ!まだ終わらんよ!」は、『機動戦士Zガンダム』のシャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)さんの最後のセリフです。あなたに「最後の瞬間まで試験は終わっていない」との思いを込めました。これで覚えられる人は覚えてください。全然知らない!と言う人は、ガンダムの話は忘れてください。…すみませんでした。
⑧お辞儀をする
「失礼します」の元気な挨拶が終わったら、お辞儀(警察礼式「脱帽敬礼」)を行います。元気な声と元気なお辞儀はセットです。ここがいいと面接官は本当に気持ちが良い(後味が良い)と思います。最後の挨拶とお辞儀を見て「この受験生、面接はグダグダだったけど、礼儀は気持ちがいいね!『△』にしようと思ったけど「○△」にしよう。」と思ってくれるかもしれません。
面接グダグダだったけど
この子の礼儀作法は良いね!
最後、すこし見直したよ!
「△」か「△×」の評価にしようと思ったけど…
気持ちの良い礼儀作法をするね!
最後ので「○△」へ1つ上げてもいいな
なお、お辞儀の仕方は、上の④と同じですので詳細は割愛します。ここではポイントだけ再掲載します。
「バネで弾かれる」ようなお辞儀
- 角度「30度」
- 時間「3秒間」
- バネで弾かれたように頭を上げる
- 「ながらお辞儀」の禁止
⑨「お尻を見せず」にドアを開ける
「失礼します」とお辞儀が終わったら、ドアを開けて退室します。その際、注意してほしい点があります。それは「できるだけお尻を見せない」です。でも、前を向いたまま後ろのドアを開ける、などという芸当は誰もできません。当然、後ろを向いてドアを開けるのですが、その中でも「できるだけお尻を見せない」を意識してください。つまり「半身」でドアを開けてほしいのです。半身というのは、不自然にならない程度で「身体をねじる」感じです。一度ご自身で実験してみてください。
「真後ろ姿」を見せることは、面接官に失礼感を与えます。要は、半身でドアを開けることで、「こちらの気配り」を相手に伝えたいのです。お尻を見せない、といった細かい配慮をして「少しでも面接官に失礼がないようにしたい」というこちらの思いを伝えるということです。面接官も「細かいところに気が付くな」と感心してくれることを期待する戦略です。
お尻見せないように半身でドアを開く
- 「両手」でドアを開く
- 「半身」を意識してドアを開く
なお、警視庁や大阪府警などでは、ドアのない会場で面接試験が行われます。その場合は、「失礼します」の挨拶とお辞儀をしたら、できるだけそのまま、前を向いたまま…あるいは半身のまま、パーテーションで面接官から見えない位置まで移動します。ドアのない会場でも「できるだけ面接官にお尻を見せない」を意識してください。
⑩頭を下げながらドアを閉める
さあ、いよいよ最後です。細かいですが、私は細部にまで徹底的にこだわります。
ドアは、頭を上げたまま閉めてはいけません。最後まで、頭の低い・腰の低い謙虚な受験生だ、と面接官に思われたいです。また、最後に面接官と目が合うのは、なんとなくばつが悪いです。目を合わさない形で締めくくりたいです。
- 両手をドアノブに添えたまま閉める
- お辞儀をしながら閉めるイメージ
細かいところまでよく気が付く受験生だね
ドアを閉めるまで気を付ける受験生は少ないよ
最後の最後までしっかりしている
わたしは好印象だ!
警察に入ったら良い警察官(行政職員)になってくれるだろう
改めて「新近効果」から面接試験を見る
ここまで、離席からドアを閉めて退室するまでの10秒間…「最後の10秒間」について、こまごまと解説してきました。こまごまと解説しましたが、これはたった10秒間の出来事です。時間的には一瞬です。しかし、面接官の心理には、悪魔の心理学「新近効果」が働いています。15分間の本編の方は目立ったところしか覚えていなくても、この最後の10秒間は忘れません。というより、心理的・本能的に忘れられないのです。
面接官は、最後の10秒間のあなたの姿を強く印象します。「面接途中」の3~4倍強く印象に残ります。そして、それが直後の採点にそのまま直結します。
もし、面接でグダグダになってしまったら、せめて礼儀作法で挽回しましょう。マナーに敏感な面接官は少なくありません。良い礼儀作法で最後を締められれば高評価になることだってあります。「面接、ダメだった」と思っても、そこで諦めては絶対いけません!そのあとの「礼儀作法で挽回できる」と信じましょう。
よく、面接がグダグダで、最後に「ふてくされた」ような、「諦めた」ような態度に出る受験生がいます。あなたは、このような受験生になってはいけません。けちょんけちょんにされても絶対にメゲないあなたのタフさに最後、好感を感じてくれるのです。
たとえ面接がグダグダになっても…
あなたにはまだ「最後の10秒間」がある!
グダグダにめげないタフさ・真剣さを最後の切り札にしよう
試験が終わっても気を抜かない
退室して試験は終了です。どの都道府県警の試験でも、試験が終わったら「そのままお帰りください」と帰宅を促されます。しかし、面接試験は終わっても、あなたの試験時間はまだ終わっていません!まだまだ気を抜けないです。
実は第1回「警察流面接マナーの基本」で詳しく解説したのですが、試験官は面接官だけではありません。案内職員も面接官と思え、とお伝えしました。実際に、案内職員や面接官は、あなたの知らない場所であなたを見ているのです。抜かってはいけません。
仮に、あなたが面接試験が終わったとたんに態度を変えて携帯電話をしながら会場内を歩いたり、壁を叩くなどといったマナー違反が見られれば、案内職員から面接官に報告しかねません。そういったことがあっては、これまでの苦労が水の泡ですよね。
ただ、試験が終わってホッとして、「つい気持ちが緩む」というのはあり得ることです。でももしかするとそれを「悪い本性」と誤解されるかもしれません。
だから、私はあえて「自宅に帰るまでが面接試験」と言っています。面接試験が終わっても、面接試験や面接会場では細心の注意を払います。その隅々まで行き届いた細心の注意が、結果として面接時間中のあなたの適性・良い評価として面接官に映っていくだろうと思います。
二面性のある受験生はいらない
トイレの窓から受験生の「帰り際」を見て不合格にしたこともある
まとめ
今回の振り返り
今回の記事では、面接官を操る最後の10秒間「警察流退室マナー」について解説しました。
面接がグダグダになっても、最後の10秒間で挽回できるチャンスがあります。面接官は警察流マナー「警察礼式」にうるさい人が多いです。多くの受験生が「雑な退室」をするのに対して、今回の記事を読んだあなたは、そういったライバルに差をつけます。
【ポイント1】「最後の10秒間」に起こること
- 「最後の10秒間」とは、離席から退室するまでの10秒間
- この「たった10秒間」に得点を加えよう
【ポイント2】面接官を操る「新近効果」とは
- 「新近効果」:人は最後に触れた情報を「通常より3~4倍」かつ「長時間」保持する
- 面接官は、あなたの「最後の姿」から逃れられない
- 新近効果で面接官の心理・評価の迷いを操ることが可能
【ポイント3】あなたにやってほしい「たった1つ」のイメージトレーニング
- 終了したら、グダグダだった面接試験のことはすべて忘れることをイメージトレーニングする
- 最後の10秒間は「別物」と、グダグダだった面接とは完全に切り離すトレーニングを繰り返す
【ポイント4】やることは基本ばかり!ココだけ押さえる「11の流れ」
- 立ち上がった瞬間、面接の記憶は全消去
- 椅子の横に立つ「立ち姿」の美しさを意識
- 元気いっぱい大きな声で「ありがとうございました!」
- お辞儀
- ながらお辞儀はNG
- ドアまで歩く「後ろ姿」:胸を張って前を見て歩く
- ドアの前で正対して気を付けの姿勢
- 元気いっぱいの大きな声で「失礼します!」
- お辞儀(ながらお辞儀はNG)
- お尻を見せず「半身」でドアを開ける
- 頭を下げたまま両手でドアを開ける
- いずれも皆さんがふつうにやっている基本ばかりです
- 「流れ」として考えるとコツをつかみやすいです
【ポイント5】会場では絶対に気を抜かない
- トイレの窓から見ていた面接官が不合格評価に変えた例もあり
ワンポイントアドバイス
圧迫はふつうにする!
圧迫面接はふつうにあります。「第一印象が悪いから」とか「余計なことを言ったから」ではなく、面接官の中には「最初から、圧迫は必ずすると決めている」という人もいます。でも、その面接官が特に意地悪な人かというとそんなことはありません。ふつうの警察官です。ふつうの人です。これは本当のことですが、ふだんは心優しい人が「心を鬼にして悪役」を演じています。
面接官は、あなたが警察官や警察行政職員にふさわしいかどうかを知りたいだけです。良い受験生かどうかを見極めたいだけです。あなたがふさわしいかどうかを見極める大きなバロメータになるのが「最後の10秒間」です。
私は最初から全員に「圧迫はする」と決めている
ふさわしい人材だけ欲しいから
「心を鬼にして悪役」になると決めている
…それもけっこう大変なんだよ
圧迫の後の「メンタルの対応力」を見る
面接が終わった後、あなたはこのようなことを考えていたりしませんか。
「僕だけ」圧迫面接でした
余計なことを言って「しまった!」って
試験中ずっと引きずってしまって
ぼくは第一印象が悪いから…
警察の面接試験では、様々な質問がきます。時には、まったく想定外の質問がきたりもします。ありきたりの質問には、多くの人がその準備をしていると考えるからです。想定外の質問や圧迫質問で、あなたの「メンタルの対応力」や「ストレス耐性」を知ろうとします。
圧迫質問をした時、想定外の質問をして受験生を困らせたとき…面接官は、あなたのその質問への回答より、あなたの表情や態度に興味があります。そこで、アタフタしたり、落ち着きを失ったり、目がキョドったりすると、さらなる追い打ちの打撃を招きかねません。
- 「この程度の質問で意気消沈するのか」
- 「メンタル耐性が低いな」
- 「期待した反応と違う」
これくらいで落ち込むの?
ストレス耐性低いな…
最初は元気だったのに…尻切れトンボだ
最後ぜんぜん元気なくて期待外れだな
「THE不採用受験生」の典型パターン!
あなたへの期待は大きな失望に変わってしまいます。
圧迫面接はあなたの「ストレス耐性」を見ている
落ち着きを失わず堂々と答える姿があれば良い
答える内容は「二の次」…くらいの気持ちでOK
面接官の疑念を「最後の10秒間」で払しょくする!
面接官は、最後は元気に退室してほしいと思っています。最後、受験生がどのような態度や声の調子かとても注意深く観察しています。受験生の中には、圧迫面接に反発してふてくされる人や極端に意気消沈している人がいます。また、心ここにあらずで目がキョドっていたり、場の空気に圧倒されてしまっている人がいます。警察官や警察行政職員は、現場であらゆる種類の市民と接するため、どのようなことが起こっても、落ち着いて冷静に対処することが求められます。
面接でグダグダになることはよくあることです。面接試験の問答集をあらかじめ考えたり準備を十分にする人ほど、イレギュラーな質問に遭うと取り乱してしまったりします。その時、面接官はそのような様子のあなたに対して疑心暗鬼になっています。
【面接官】
- 「少し取り乱しているようだけど…警察官として大丈夫?」
- 「混乱しているの?落ち着いてるの?…どっちなん?」
「この受験生大丈夫か?」という面接官の疑心暗鬼に、あなたは最後、「大丈夫です!」とボディランゲージで応えます。元気いっぱい大きな声で挨拶します。堂々と出口まで歩きます。指先まで緊張した立ち姿などを見せます。こういった態度・姿によって「イレギュラーな質問でびっくりはしましたが、全然大丈夫です!落ち着いていますよ」「私は警察官・警察行政職員として準備OKです」と伝えたいです。面接官の「大丈夫?」の疑念をここで完全に払しょくしたいです。
面接官は、最後、あなたの「本性」を知りたくて、最後の最後まであなたの姿を見届けます。「最後の10秒間」を本当に大切にしてください。
頑張るあなたに心から贈る塾長のエール!
それを一気に払しょくするのが「最後の10秒間」です。言葉ではグダグダになっていたかもしれないけど、僕は警察官に向いていると思う…といった覇気をボディランゲージを使って伝える好機です。
ペシャンコにされてもへこたれないぞ!
試験の最後で「圧迫を受けた」「うまく答えられなかった」などと思う受験生は多いです。そんな思いになるのは、あなただけではありません。問題は「その後」です。最後の退室の時、挨拶する元気もないくらい落ち込んではいけません。警察面接は落ち込みに行く場ではありません。「私は警察官に向いている!このとおり向いてる人物です!」と面接官に覇気を伝えに行く場です。最後の10秒間は、最後の気力を振り絞って「カラ元気」で元気いっぱいあなたのやる気を伝えてきてください。
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①面接試験で「なにが質問されるか不安」悩んでいませんか?
『何が出るか問題』はここでもう終わりにしてください。警察の面接は、この「300問」ですべてです。他に必要ありません。試験に精通した元警察人事が、全300問を伝授します
②一番大切な面接試験で…いま、あなたがやるべきことは何ですか?
答えは「警察研究」と「面接の回答準備」です。
でも「なにから手をつければいいか分からない…」悩んでいませんか?
面接の合否は、結局は「この警察フレーズを言えるか言えないか」です。
日本初の本格的警察面接対策「全模範回答集」をぜひご覧ください。これで警察に絶対に合格できる!渾身の1本です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
(完)