面接カード添削塾へようこそ
私の教室の受験生に「志望動機」欄の書き方について話を聞くと、次のような悩みの声をお聞きします。
「志望動機」欄
書けそうでうまく書けないです。。。
書き始めてもペンが止まってこれ以上書けなくなります
警察の仕事について知らないと書けない気がします。
書いている内容が『薄っぺら』な気がするんです…
あなたもこのようなことで悩みを抱えていませんか?
実は、「志望動機」欄を書くときに、多く受験生はこういった壁にぶち当たり不安を抱えています。でも「志望動機がうまく書けない」ということは普通にあることです。
なぜなら、そもそも警察の職業理解がない状態で「警察を志望した理由を書け」といっても、誰にも書けないからです。
警察での受験では、OB訪問をしてもほかの企業や公務員のようにオープンに話してくれる先輩はほとんどいません。若い先輩方は、上司から「安易にOB訪問を受けないように」と指導されているからです。
私は、30年以上にわたり警察官として勤め、そのうちの7年間を警察本部の人事課で勤務しました。人事課では主に採用試験担当部署で働きました。人事異動で人事課を離れた後も本部公認の「シニア・リクルートリーダー」として多くの警察試験受験生を直接指導をしてきました。
この記事では、警察の採用試験の裏側まで知る私が、受験生が実際に書いた面接カードを取り上げ、「志望動機」と「志望部署」欄の書き方について解説します。
この記事を読むと、難しかった「志望動機」欄の書き方のコツが良く分かります。「こんなにシンプルで良かったんだ」と納得して良い志望動機を書くことができるようになります。また、私の書いた模範解答を「丸写し」して覚えて学ぶこともできます。
警察のこととか難しくて…
面接とか志望動機とかホント難しそう
どうやって勉強したらいいかわからないです
この記事を読むと「書けるかも」って自信が持てるよ
模範答案を丸写しする「覚えて学ぶ勉強法」も有効だよ
記事の最後には、模範解答例をつけています。ぜひ参考にしてください。
なお、面接カード添削塾では、警察官・警察行政職員の試験別、大卒・高卒の区分別、各項目別ごとに記事を作成しています。また、面接カードを書くにあたって知っておきたい基礎知識や面接カードに関する裏情報なども記事にまとめています。
まとめ記事(記事ルートマップ)をご用意しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
志望動機をしっかり書いて一発逆転です!
【あわせて読みたい】
①面接試験で「なにが質問されるか不安」悩んでいませんか?
『何が出るか問題』はここでもう終わりにしてください。警察の面接は、この「300問」ですべてです。他に必要ありません。試験に精通した元警察人事が、全300問を伝授します
②一番大切な面接試験で…いま、あなたがやるべきことは何ですか?
答えは「警察研究」と「面接の回答準備」です。
でも「なにから手をつければいいか分からない…」悩んでいませんか?
面接の合否は、結局は「この警察フレーズを言えるか言えないか」です。
日本初の本格的警察面接対策「全模範回答集」をぜひご覧ください。これで警察に絶対に合格できる!渾身の1本です。
Mさん(大卒警察官 27歳 男性 交通志望)の「志望動機」
Mさんは社会人の受験生で27歳。3年連続で受験に失敗し失意のどん底におられました。私が講師を務める予備校に専科生で入学したのがご縁で、私の指導を受けることになりました。失敗続きの結果にかなり打ちのめされていましたが、この年見事に第一志望の県警に合格されました。
現在は「ベテラン風の新人警察官」として元気に活躍しておられます。
3年続けて不合格でした…
もうわけわかんないです…
もう駄目なんでしょうか。。。
それでも警察官になりたいです!
夢は諦めきれません
お気持ちお察しします
私も3年目の受験で合格できました
3年間苦しかったのを覚えています…
でも大丈夫!
勉強法を変えれば結果がガラッと変わります
塾長は「警察の受験は『志望動機』からスタート」話していますよね
塾長を信じて『志望動機』から再出発します
よろしくお願いします
はい。『志望動機』が警察受験のスタート地点!
今年合格して前回までの無念を一気に晴らそう!
Mさんからご承諾を頂きましたので、Mさんが書いた志望動機を掲載します。
なお、マークシート試験では点数や順位・偏差値などで自分の状況がよくわかるのですが、面接カードの内容は数値化ができません。ですので私は受験生同士で面接カードの「相互読み」することを推奨して実際に実践させています。
ほかの受験生が書いたものを読むことで、自分の優れている点や足りない点だけでなく、相手の優れている点や足りない点が良く見えてきます。どんどん他の受験生が書いたものを読みましょう。
Mさんの「志望動機」
では、Mさんが書いた志望動機欄を一緒に読んでみましょう。
「小学生のころから警察官にあこがれを抱いていたが、絶対になると決心したのは父が交通事故に遭ってからである。
事故の理由は些細なことであったが、そのせいで父や事故を起こした相手の人生は台無しになっていたかもしれない。
だから私はこのような事故を無くしたいと思い、警察官を志望した。
警察では、交通部の、特に交通機動隊で交通取り締まりを行い、交通事故撲滅に尽力したいと思っている。
理由は、上にも記述したように交通事故によって不幸になる被害者そして加害者を無くしたいからである。」
【235文字】
Mさんの「志望動機」を読んでみて、いかがだったでしょうか。あなたならどう書くでしょうか。ご自身が書いたものと比較をしながら学ばれてください。
Mさんの志望動機
「良いところ」「足りないところ」をぜひ指摘してみてください
地味な作業ですが、この指摘の作業があなたの成長を促進させるよ
Mさんの「志望動機」欄の添削
3年間不合格の原因になった「致命的ミス」
私は、Mさんの志望動機を読んで、すぐに致命的なミスが気がつきました。それは、
- 必ず書かなければならない「キーワード」が書かれていない
- 書いてはいけない「NGワード」が書かれている
Mさんは、「警察官になりたい」その思いを支えに、懸命に働いておられていました。Mさんには、いますぐ警察官になってもおかしくない素晴らしい資質がありました。しかし「正しい書き方を知らなかった」だけの理由で、これまで3年続けて不合格になっていたようです。Mさんの志望動機を読んで、本当に惜しい!と思ったものでした。
結果的には、そのあとMさんは私と一緒に二人三脚で熱心に学び続けられ、最後には素晴らしい面接カードを仕上げ、そして、その年見事に合格されたのです。熱心な学びが最上の結果につながり本当に良かったです。
これをお読みになるあなたには、Mさんが不合格になった理由とともに、どのように改善すれば「合格答案」になるのかを感じ取ってほしいです。あなたも、Mさんの合格に続きましょう!
今思うと「これでは合格できなかったはずだ」と思います
3年連続不合格だった理由がわかりました
1人で独学するのは本当に大変です
- 自分の足りない点に自分で気づきにくい
- 心理的に孤立しやすい
ここで合格に必要なポイントを学んでいきましょう
Mさんの志望動機欄には全部で5行が使われています。上から1行ずつ見ていきます。
【Mさんの1行目】
Mさんが書いた志望動機の1行目です。
「小学生のころから警察官にあこがれを抱いていたが、絶対になると決心したのは父が交通事故に遭ってからである。」
冒頭ですが、ここで、今回のMさんの志望動機の一番問題点がでてきました。それは、志望動機欄なのに「志望動機が書かれていない」のです。実は、ご自身で気が付いていないのです。これは致命的なミスです。
マジですか…
志望動機欄に志望動機を書いてなかったんですか…!?
自分では書いたつもりでいました…
ここが今回の一番の改善ポイントです
実は案外気が付かないところです
では、志望動機とは何でしょうか。Mさんの志望動機欄に「志望動機が書かれていない」とはどういうことでしょうか。
そもそも警察の志望動機とは?
警察の志望動機とは、
警察は○○をする仕事です(仕事を理解している)
↓(仕事を理解したうえで)
「◎◎部署」で働きたいと思い、警察を志望しました
ですので、警察の仕事を十分に理解していないと、良い志望動機は書けないです。
でも、このように書くと、皆さんの中には次のように思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、警察の仕事ってたくさんありますよね…
どこから勉強して良いか分からないです
でも、安心してください。志望動機に必要な仕事の理解は、それほど深くなくて大丈夫ですし、警察の仕事の「すべて」を勉強する必要もありません。まずは、あなたが警察官になったら働きたい志望部署を1つ決めてください。志望部署が決まったら、志望部署の勉強から始めましょう。そして、志望部署の勉強を深めていくだけで十分です。そこが出発点ですよ。
志望部署を1つ決めよう!
その部署だけ勉強すればこの試験は大丈夫です!
今回のMさんであれば、志望部署は交通警察と決まっています。ですのでMさんは、仕事の勉強は交通警察の理解に注力します。基本的に面接官は、受験生が1つの部署についてしっかり勉強できていれば、他の部署の知識が薄くても問題にはしません。あれもこれもは無理だと分かっています。その代わり、選んだ1つの部署の知識だけは必ず深める必要があります。
志望動機欄には「志望動機」を書き忘れない
志望部署を1つ決め、それを深く書く
この時点で、Mさんは警察の仕事をほとんど勉強していませんでした。いや、もっと正確に言うと、お気の毒にも勉強する機会に恵まれていませんでした。それがこの「志望動機」欄に明確に反映されています。せっかく警察官に向いている資質があっても、書き方が悪いだけで不合格になってしまう典型例になっています。Mさんの失敗事例にぜひ学びたいものです。
【受験テク】志望動機は「1行目冒頭」に書こう
志望動機は、面接官が一番関心を持つ項目です。志望動機の重要性は、他の項目と比べものになりません。際立って重要です。ここが書ければ、面接カードの作成はほぼ終わったようなものだと言っていいくらいです。だから、その冒頭の書き方には特に注力をしたいです。
受験テクニックとして、志望動機は「1行目冒頭」に書くと効果が大きいです。ここではまず、「志望動機は1行目冒頭に端的に書く」とご記憶ください。
志望動機は「1行目冒頭」に「端的」に書く
具体的な書き方の詳細は、以下解説していきます。
「警察」と「消防・自衛隊・海保」を差別化せよ
志望動機を書いてくださいと伝えると「安全と安心を守る仕事」と書く人がいます。間違っていないのですが、そのまま消防の試験に持っていっても使えそうな志望動機を書いていてはいけません。
志望動機に安易に「安全・安心」と書いていませんか?
「安全・安心」は諸刃の剣で、自分を傷つけることも
消防や自衛隊・消防と警察を併願する人は多いです。
警察は、消防・自衛隊・海保と同じ「公安職」で、確かに「安全と安心を守る」ことでは同じです。でも、警察には警察の「安全と安心」の守り方があります。警察の試験には警察を差別化して書く必要があります。警察の面接試験では、他の公安職との差別化は問われやすいところです。「警察と消防とどこが違うの?」などと面接試験で追及されてシドモドしないように、どこがどう違うのか説明できるようにしていきましょう。
安易に「安全・安心」と書かない
他公安職との「差別化」が不十分
では、差別化するためには、どう書けば良いのでしょうか?
【重要】志望動機に入れたい「万能の勝負フレーズ」
警察を、消防や自衛隊・海保といった他の公安職と差別化する良いフレーズがあります。それをここで公開します。差別化できるだけでなく、面接官をあなたに引き付ける「万能の勝負フレーズ」です。
警察を他公安職と差別化…意外と難しそう
具体的にどう書いていけばいいですか?
警察を差別化する万能の勝負フレーズを教えるね
他の人にはないしょですよ
それがこちら
「市民の最も身近にいて、安全と安心を守る」
「身近にいる」…これが警察のキーフレーズになります。
多くの受験生は「安全と安心を守ることです」と答えがちです。でも、これでは警察の仕事の説明になっていません。消防でも自衛隊でも同じ答えで通用するからです。面接官はこれを聞くと「また『安全・安心』か」「警察のことを勉強していないな」と正直ウンザリします。
しかし、あなたは違います!ここで、警察の仕事を「市民の身近にいる」というひと言で差別化します。私は、警察の仕事を知れば知るほど、この「市民の身近にいる」に、「警察の仕事のすべて」がこのひと言に集約されていると考えています。
「警察の仕事をひと言で説明してください」
「市民の最も身近にいて、安全と安心を守ることです」
(心の声)ほぉ、他の受験生とちょっと違うことを言うな
興味があるな
どういう意味だろう。聞いてみよう…
「『市民の身近にいる』とはどういう意味ですか?」
「警察には不安や心配を抱え問題解決を望む市民が相談に来られます
警察にはそういった方々のニーズに応じた適切な対応が求められます
警察の仕事はまず市民の皆さんの話を丁寧に聞くところから始まると思います
警察は常に市民に寄り添い、市民目線で的確・迅速に援助を提供し、
市民の問題を解決していく尊い仕事だと考えています」
(心の声)これは警察の仕事をよく勉強している!
しっかり答えられて好印象だ!
採点表は「A」をつけよう!
お一人お一人に、納得がいくまで何時間でもとことんお付き合いをして、お一人お一人の問題を細かく解決をしていくのが警察です。そこに妥協はありません。とことん付き合います。一方的な説諭・説明ではなく、必ず双方向のコミュニケーションになります。だから、本当に問題を解決できたときに市民の喜びや安堵は大きく警察官や警察職員に対する感謝は深まります。それが警察の特色であり良いところです。
この「市民に最も身近にいる存在」というキーフレーズを軸にして、面接試験で警察の仕事を説明してください。あわせて他公安職との差別化もできるようにしてください。
「市民の身近にいる」はあなたを合格に導く勝負フレーズ
時間がない人は、
上の「Mさんの説明」を丸写し・丸暗記してもOK!
Mさんのものを基に書き直してみた
そこで、Mさんの良いところを基に、私なりに書き直してみました。このように書いてはどうでしょうか。
(原文)「小学生のころから警察官にあこがれを抱いていたが、絶対になると決心したのは父が交通事故に遭ってからである。」
↓
(書き直し)
「私は、生まれ故郷である○○県の県民が、心から安心と安全を感じられるよう、身近に寄り添いながら治安維持で活躍したいと思い、警察官を志望しました。」
↑【1行目冒頭】志望動機は冒頭部に持ってくる
↑【キーフレーズ】「市民の身近で」を入れる
【Mさんの2・3行目】
次に、2行目と3行目を一緒に見ます。
「(1行目続き)…絶対になると決心したのは父が交通事故に遭ってからである。
事故の理由は些細なことであったが、そのせいで父や事故を起こした相手の人生は台無しになっていたかもしれない。
だから私はこのような事故を無くしたいと思い、警察官を志望した。」
エピソードを入れたい気持ちが空回り
Mさんは、警察官に絶対になると決心したきっかけを「父の交通事故」と言っています。「事故で大けがでもしたのかな?」と思って読み進めると、理由は些細なことであり、お父様もけがもなく物損事故だったようです。
Mさんは交通課勤務を志望しています。それの伏線にしたいとの思いからお父様の物損事故を取り上げたようですが、「絶対になる」と一大決心をするには少しインパクトが足りないようです。驚地動天の思いで一大決心したストーリーを作ってでもアピールしたかったお気持ちは理解できるのですが、「盛ってる感」が強く、エピソードが見せかけに終わってしまっています。これでは面接官に見透かされます。
エピソードが「志望動機を説明」する役割を果たしていない
エピソードは何のため?これは「あなた自身のプレゼン」
エピソードは「戦略的」に書くことが大切です。一番ダメな書き方は「面接官は分かってくれるだろー」と安易に考えて、テキトーな話題を選んで、勢いで書くことです。あなたは、このように書いていませんか?「私のはそうは書いてないよ」と思われるかもしれません。でも、少し距離を置いて答案を眺めてみると、意外とそのような書き方になっているものです。
- 面接官は「理解できるだろうか」考えながら書く
- 伝えたいことは何か
- 「伝えたいこと」から逆算してエピソードを選定する
- 伝えたいことが伝わっているエピソードか常に吟味する
今回のMさんの面接カードではどうでしょうか。
①面接官は「理解できるだろうか」と考えながら書いているか
Mさんのカードでは、「無理やり」交通事故を取り上げ、「勢い」で「これくらいの書き方でいいだろう」と思いながら書いた感が見られます。面接官に「読んでもらう」「読んで正確に理解してもらう」といった意識がない、という意味で…少し厳しい言い方ですが…ただの「自己満足の作文」になってしまっています。
何も考えずに書いてしましました
「面接官が理解できるか」なんて意識してませんでした
②「伝えたいこと」はなにか
Mさんの伝えたいことは「事故を無くしたい」ということです。ここが明確なのはとても良いです。私はここを評価します。ただ、それをつなげるエピソードが…いまひとつ…なのです。エピソード選びに失敗しているのです。もったいないところです。
お父さんのケガは大したことなかったじゃない
気持ちは分かるが「大げさ感」がイマイチ!
無理やり「交通志望」につなげてる
③伝えたいことから「逆算」してエピソードを選定しているか
「逆算」の発想は、受験に勝ち抜くうえで大切な考え方です。逆算の発想が持てれば、最小限の努力で最大の効果を上げることができるからです。ここでは、自分が選んだエピソードの中から「どこを切り取れば良いところ(Mさんなら「交通警察での貢献」)が一層引き立つか」を考えて、自分の良いところにつなげていきます。
【結論】「交通警察官になって事故防止に貢献したい」
↓ 結論から逆にエピソードを探していく
【エピソード】何を選ぶとトクだろうか…考える
エピソードのどこを切り取りしたら「良さが引き立つ」か
そこから「逆算」して、自分の良いところにつなげよう
④「警察官に必要な人材だと伝わっているか」常に吟味する
今回のように「苦し紛れにエピソードを選んだ」といった印象を与えてしまう書き方ではいけません。また、この記載が「試験の一部」だということも忘れてはいけません。あなたが書いている内容で、あなたが「求められている人材」であると、きちんと応えられているでしょうか。また、それがちゃんと面接官に伝わっているでしょうか。ここを常に考えながら書き進めてほしいです。
警察の試験で「自分をプレゼンしている」
そんなふうに考えるべきなんですね!
適当なエピソードがなければ「書かない」選択肢も
「交通警察官として貢献したい」…という志望動機から逆算して、適当なエピソードが見当たらなかったら、エピソードは書かないという選択肢も「あり」です。その部署で近年問題になっている問題点を抽出して、それをコンパクトにまとめる方法もあります。
今回の例では、ほとんど無傷だった交通事故を書いて→そこから「志望する強いきっかけになった」と書くよりは、無エピソードでまとめてみます。
Mさんのものを基に書き直してみた
そこで、Mさんの良いところを基に、私なりに書き直してみました。このように書いてはどうでしょうか。
(原文)
「 (1行目続き)…絶対になると決心したのは父が交通事故に遭ってからである。事故の理由は些細なことであったが、そのせいで父や事故を起こした相手の人生は台無しになっていたかもしれない。だから私はこのような事故を無くしたいと思い、警察官を志望した。」
↓
(書き直し)
「私は交通警察を志望しています。車は便利で社会生活に欠かせないものですが、一方で交通弱者である高齢者をはじめ毎年多数の人が事故で死傷しています。交通事故は被害者だけでなく加害者も不幸にします。
↑【エピソード】適当なエピソードなければ書かない
↑【交通部の喫緊課題】「交通弱者」「加害者も不幸」などのパワーワードをピックアップ
だいぶ良くなりましたー!
ありがとうございます!
【Mさんの4行目】
次に4行目です。
「警察では、交通部の、特に交通機動隊で交通取り締まりを行い、交通事故撲滅に尽力したいと思っている。」
志望部署が明確なのはとても良い
Mさんは志望部署が明確です。志望動機を書く受験生の中には志望部署を書かない受験生の方もいますが、志望部署まで書くべきです。志望動機と志望部署を「別々」に書かせる都道府県警も多いです。もし、志望動機のみで志望部署まで書かせない場合は、あなたが書く志望動機欄には、必ず志望部署まで書きましょう。
志望部署が決まっているのはとても良い!
※今の志望部署と拝命・入庁後の配属先が違っていても良い
事故は撲滅できない
交通事故は『撲滅』できません。交通事故が撲滅されている状態は「車が1台もない」状態だからです。『撲滅』ではなく『抑止』の方が適当です。
交通事故は「撲滅」できない
交通事故は「抑止」するもの
一つひとつの言葉の意味を十分に理解して書くようにしましょう。そうすれば簡潔に書くこともできるようになります。
撲滅するのは「飲酒・あおり・ながら」
交通事故は抑止するものですが、撲滅するものもあります。それは、
- 飲酒運転
- あおり運転
- ながら運転
などの悪質交通違反です。飲酒運転とあおり運転に関しては、もはや「犯罪」と言っていいレベルの危険運転行為です。交通志望者は悪質交通違反の撲滅に力をいきたいと抱負を語れるチャンスでもあります。
交通志望者は「交通三悪」を覚えておこう
「交通三悪」という言葉をご存じでしょうか。「こうつうさんあく」と読みます。
- 飲酒運転
- 無免許運転
- スピード違反(速度超過)
交通部志望の人は、面接試験で「交通三悪」という用語を答えられると「よく勉強しているな」と高評価につながります。交通志望の人は覚えておくと良いですよ。
交通志望者は「交通三悪」は覚えておこう
交通三悪は、交通部に入ると嫌でも覚えるワードです。どうせ警察に入ったら「耳タコワード」になるのですから、今のうちに覚えてしまいましょう。
なお「新交通三悪」というのもあります。①シートベルト②駐車違反③過積載の3つです。このうち、シートベルトと駐車違反は重要です。余裕があれば、交通志望者のみ新交通三悪も覚えて損はないです。
交通の重要課題が未掲載
Mさんの志望動機には、もう1つ足りない点があります。それは、最近トピックスになっている交通関係の喫緊の課題に全く触れていないことです。
例えば、最近は高齢者の交通事故が社会問題化しています。しかも、高齢運転者が高齢歩行者をはねて死亡させる、いわゆる「高・高」事故です。現在では、交通死者の約3割をこの「高・高」事故が占めるようになってきました。例えばこのような、交通関係で社会で大きな問題になっているトピックスを取り上げ、それに対してMさんが「交通警察官として尽力したい」とつなげられれば自然でかつ説得力のある記述になってきます。
志望部署の最近の重要課題を取り上げる
※(例)交通部:
- 「高・高事故」急増
- 「横断歩行者妨害」取締り強化
- 「ながら運転」厳罰化など
いま問題となっている重要課題を取り上げることは、最新のニュースにも敏感で、交通志望に対する意識の高さを面接官にアピールできます。上にあげた例を参考に、受験する都道府県警のHPなどからトピックスを探してみると良いです。
また、今回はMさんを例に交通部のトピックを取り上げましたが、他の部署希望の人も同じです。刑事警察志望、生活安全警察志望、地域警察志望、警備警察志望の皆さんも、それぞれの部署で最近問題になっている課題や話題に敏感になってください。新聞や受験する都道府県警のHPには、そういった話題がたくさん掲載されていますから、必ず見るようにしてください。
【Mさんの5行目】
次に5行目です。
「理由は、上にも記述したように交通事故によって不幸になる被害者そして加害者を無くしたいからである。」
素晴らしい記載内容のある5行目
この5行目は素晴らしい記述があります。私はこれを読んで「Mさんには警察官にふさわしいキラリと光る良いところがあるな」と感じました。「しっかり指導できればMさんは今年必ず試験に合格するだろう」と確信した瞬間です。
良いところは「交通事故によって不幸になる被害者そして加害者を無くしたい」という一文です。素晴らしいです。これこそまさに交通警察志望者らしい書き方ですし、交通警察の存在意義をひと言で言い表したような良文です。
Mさんの場合、これを冒頭に書いても良かったくらいです。これがMさんの「警察官になりたい」という志望動機になっていると感じます。
「交通事故によって不幸になる被害者そして加害者を無くしたい」
キラリと光る素晴らしい一文でした!!
ありがとうございます!
やる気アップします。
余計なひと言に注意
ただ「上にも記述したように」…は余計なひと言です。この書き方は読み手に失礼になります。「上にも記述したように」と書くのであれば、もう一度同じことを書いても良いので簡潔に伝えたいことを伝えましょう。
4行目でも少し解説しましたが、1文字1文字に魂を込めて書いてほしいです。Mさんの書き方に1文字1文字を丁寧に書く用心深さが加われば、すごく良い志望動機になります。余計なひと言で、Mさんが持っている良い資質の評価を下げてしまわないように、自ら細心の注意を払いたいところです。
- 不要な文字は1文字でも減らす
- 本当に必要な記載に文字数を費やす
1文字1文字に心を込めて丁寧に書こう
面接官は隅から隅までよく見ているよ!
雑な書き方になっていたんですね…
…気が付きませんでした
今年は絶対合格したいので今後は魂込めて書きます!
歌舞伎町交番です
警察学校を卒業したら最初はみんな交番で勤務するんだよ
もちろんパトも運転するよ
講評
最後にMさんが書いた「志望動機」欄の良い点と不十分な点をまとめます。
評価できる点
- 志望部署が明確に決まっていた(交通部) ←【VeryGood!】
- 交通警察をよく勉強していると思わせる一文があった ←【VeryGood!】
改善が必要な点
- 志望動機欄に志望動機が書かれていない ←【致命的】
- 「警察」と他公安職との差別化が不十分
- エピソードは志望動機から逆算して選ぶ
- 適当なエピソードがない時は無理に使用しない
- 志望部署の最近の「喫緊課題」を取り上げる
評点 ・50点(合格レベルは60点以上)
50点とかなり厳しい評価となりました。現在の記載内容では合格圏内に到達していないです。
Mさんの答案の良い点と悪い点を踏まえ、以下に模範答案をまとめてみました。
模範答案
最後に模範答案です。
良い面接カードを短期間で完成させるコツは、模範答案を丸暗記することです。今回は交通警察志望のMさんを例に添削しましたが、「私は地域警察志望」「僕は刑事希望」と他の部署を希望している人も大丈夫です。大切なのは、模範答案の「リズム」をつかむことです。丸暗記することで「こんな感じで書く」とイメージをつかんでほしいです。丸暗記法については、最後の章で詳しく解説します。
「私は、生まれ故郷である○○県の県民が、心から安心と安全を感じられるよう、身近に寄り添いながら治安維持で活躍したいと思い、警察官を志望しました。
- ↑【ポイント】志望動機の第1行目冒頭に端的にまとめる
- ↑【ポイント】警察を他の公安職と差別化する。ここでは「県民に寄り添う」「身近に安心と安全を感じられる」で警察独自のあり方を表現
「私は交通警察を志望しています。車は便利で社会生活に欠かせないものですが、一方で交通弱者である高齢者をはじめ毎年多数の人が事故で死傷しています。交通事故は被害者だけでなく加害者も不幸にします。
- ↑【ポイント】自分の志望部署を明確にする
- ↑【ポイント】志望部署の直近の喫緊課題を取り上げる
「私が警察官になったら、交通取締りや安全教育・巡回連絡を積極的に行い、痛ましい事故を1件でも抑止できるよう尽力したいです。」
- ↑【ポイント】「警察官になったら」抱負を書いて締める
(228文字)
※警視庁は「都民」に、大阪・京都は「府民」などに変えてください。
塾長!
この「志望動機」このままもらっちゃっていいですか?
もちろんいいですよ。
てか、このまま丸暗記してしまってください!
志望動機は面接試験で必ず聞かれるのですから。
ありがとうございます!いただきます!
このまま丸暗記します!
「志望動機も『暗記科目』」ですねー
面接カードを短期間で上達させる「必勝勉強法」
模範答案を「丸写し・丸暗記」して覚えてしまおう
面接カードを短期間に上達させるのに一番有効な方法は「模範答案の丸写し・丸暗記」勉強法です。我流で書いていては、いつまで経っても上達できないです。模範答案には、警察面接に合格できるエッセンスが詰まっています。「正解」に触れ、「正解」を丸暗記するほど繰り返し書いて写せば、自然とゴールに近づきます。
「丸写し・丸暗記」勉強法を強くお勧めします。
Mさんの添削を読んで、何となくポイントはわかりました…
でも結局「僕の」面接カードはどうやって書けばいいんでしょうか
模範答案を「丸写し・丸暗記」してください
それにあなたのものを付け加えるイメージでOKです
面接カードの他の項目…
「自己PR」や「最近のニュース」などの模範答案も見たいです
「自己PR」や「最近のニュース」アップしています
ぜひ以下のリンクからご覧くださいね
他の記事も覗いてみよう(他項目の「模範答案」多数あり)
警試塾では、あなたに参考になる記事を他にも書いています。下記に必要な記事を厳選しました。リンクを貼っておきますので、お時間があれば、一度覗いてみてください。
【面接カード「志望動機」欄の書き方を解説した記事】
【面接カードの他の項目の書き方について】
- 【面接カード添削塾】「最近のニュース」編(警察官第1回) ←おススメ記事
- 【面接カード添削塾】「性格」「自己PR」編(警察行政職員第1回) ←人気記事
- 【面接カード添削塾】「志望動機」編(警察行政職員第1回)
【面接カードについて】
【面接試験対策について】
今後のあなたの対策について
面接カードは「事前に準備できる」面接試験対策
実際の面接試験では、どのような質問が来るか予想できません。それに対しては、対策が全く打てないようにも思えます。しかし、私たちには面接カードがあります。面接カードに沿って質問されることは多いです。ならば、自分が得意とする分野の話であれば「想定の範囲内」に置くことができます。面接時間中の少なくとも数分間は「自分の支配下」に置くことができるのです。
面接カードは「事前に準備できる」面接試験対策です。自分でコントロールできる時間を少しでも増やすために、面接試験を軽視せず、しっかり準備しなければならないもの、と考えて準備してください。
【事前準備する受験生】
圧倒的に有利に戦う勝者です!
とにかく面接カードに早く取り掛かろう!
「試験会場」で書く都道府県警は特に注意
警視庁や大阪府警などのように二次試験の試験会場で、面接カードを書かせる都道府県警があります。他の県警のように、事前に書いて期限までに提出、というのであれば、ある程度準備して書くこともできます。特に、試験会場で「ぶっつけ本番」的に書かかされると、なおさら良い面接カードが書けなくなります。
警視庁や大阪府警・神奈川県警など、試験会場で書く都道府県警を受験する受験生は面接カードで大きな差ができます。ライバルに大きな差をつけるチャンスです。
警視庁や大阪などを受験する場合は、他の都道府県警よりさらに準備が必要と覚悟して、事前に下書きと練習を繰り返して、準備して臨みましょう。大きな結果を手にすることができますよ!
警視庁や大阪府警などは試験会場でカードを書く
でも、条件はみんな一緒です!
でも警視庁・大阪府警などではライバルと大きな差がつきます
ここで学んで一気に差をつけよう!
警察の受験勉強は「面接カード」作成からスタート
警察の受験勉強はどこから始めましたか?マークシートから始めましたか?実は、もっと効率的で要領のいいスタート法があります。それは「面接カード」から勉強をスタートさせることです。
面接カードは、面接官から質問される際に使われますので重要な資料です。しかし、面接カードはあなたにとって良いスタートを切る、という意味でも重要です。スタート地点に面接カードを持ってくることで、あなたは受験期間中、面接カードについてずっと考え続けることができます。ずっと考え続けることで、警察に対する理解が深まり、あなたの面接試験での態度は大きく変化します。
今回、Sさんが実際に書いたものを基に面接カードの書き方について学んできました。他の勉強は、いったんここで中断してみてはどうでしょうか。そして、少しの時間、面接カードの作成に勉強時間を振り向けてみましょう。そして、志望動機や自己PR・最近のニュースなど、面接カードの下書きを書いていきましょう。
もしかすると、意外なほど書けないことに驚くかもしれません。もしかすると、書けなくて焦りを感じるかもしれません。実は、それが狙いです。とても重要な資料ですので、早い時期に「しっかり書かなきゃ」とあなた自身が思えることが重要です。
そこまで考えられたら、あとは「模範答案の丸写し・丸暗記」勉強法をすればいいだけです。これが要領の良い最短ルートの勉強法になってくれます。
受験勉強は「面接カード」からスタートさせよう!
模範答案の「丸写し・丸暗記」勉強法で進める!
まだ面接カードを書いていない人は今すぐ書き始めよう!
今後の戦略
最後までお読みいただきありがとうございました。最後までお読みいただいたあなただけに、志望動機について大切なことをもう1つお伝えします。
もしかすると、今回の記事を読んで頂いたい人の中には「人より良い志望動機を書かなくちゃいけない」と思ったり心配したりしている人がいるかもしれません。でも、素晴らしいものを書こうと焦ったり、「人より目立ちたい」と力んだりしなくても大丈夫です。
なぜなら、警察の人事課では「人より目立つ志望動機を書く必要はない」と考えているからです。基本的には
- 「悪目立ち」さえせず
- 志望動機の基本さえしっかり押さえて
おいてくれれば、まずは十分合格になる受験生と考えてください。「悪目立ち」とは何なのか、については別記事にまとめています。そちらも一度ご覧ください。
人より目立つ志望動機を書かなくちゃいけないですよね!?
人より目立つ志望動機はまったく必要ないです!
必要なのはこの2つ。
- 志望部署を1つ決めること
- 志望部署の仕事をしっかり勉強すること
この2つを押さえた志望動機は自然と良い志望動機になっていますよ!
だから焦らず安心してください。
具体的にはどうしたら良い志望動機が書けますか?
定期的に志望動機を必ずリライト(再作成)してみましょう
例えば2週間に1度だけで良いです
素晴らしい面接カードに!思い描くような良い面接になります!
だまされたと思ってぜひ始めてみてください。
塾長を信じて2週間後にもう一度書いてみます。
生まれ変わって警察官試験に再挑戦したいです。
2週間に1度「志望動機」欄をリライト(再作成)しよう
※志望動機は試験合格に必要な知識の根幹
→必ず良い面接カード・良い面接試験につながる
今回の添削塾は以上になります。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。制服を着て警察官になっている自分の姿は、あともう少しです。つらい時期が続いていると思います。しかし、あなたは一人ぼっちではありません。一緒に力を合わせて頑張っていきましょう!
あなたに贈る渾身エール
警試塾は、頑張るあなたを全力で応援しています。警試塾に接してくださったあなたが、この採用試験で絶対に成功されますことように!あなたが少しでも受験で苦しむことがありませんように!苦しい今の時期に「希望」と「光」に包まれますように!あなたが今日も心穏やかに全力で試験勉強に打ち込めますように!あなたの周りの人々が心へいおんでありますように!心からお祈りしています。心から応援しています!!
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。警察官に絶対に合格するため、また次のページでお会いしましょう。
(完)
【あわせて読みたい】
①面接試験で「なにが質問されるか不安」悩んでいませんか?
『何が出るか問題』はここでもう終わりにしてください。警察の面接は、この「300問」ですべてです。他に必要ありません。試験に精通した元警察人事が、全300問を伝授します
②一番大切な面接試験で…いま、あなたがやるべきことは何ですか?
答えは「警察研究」と「面接の回答準備」です。
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面接の合否は、結局は「この警察フレーズを言えるか言えないか」です。
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