警察の仕事の理解

【警察時事問題】最近の時事ニュースと面接対策ポイント(警視庁編2022.4.15)

警察官試験・警察行政職員試験において、受験する都道府県警の自治体研究は「必須科目」です。

警察を受験する人は、受験する都道府県警のことを調べて受験するのが「当たり前」の状態となります。面接官は、1日に20人以上の受験生を面接します。多くの受験生を効率よく良い悪いで振り分けるために、「自治体研究の質問」は良く使われます。受験生の準備状況を確認するための良いバロメータになるからです。

面接官

県警のHPは見ているでしょうか?

HPから当県の治安上の課題は何だと考えますか?

それについて県警はどのように対処していますか?

受験生

自治体対策してなかった…調べてないし…

これって私、今かなりピンチでない!?

面接官

うちの県警のこと調べてないのに受験したの?

さっきの受験生はしっかり答えていたのに…!

これじゃダメだな

あなたは面接試験会場で、このような受験生になっていませんか?

私は、某県警で警察官として34年間勤め、そのうち7年間を警察本部人事課で勤務しました。警察官や警察現場の仕事のことだけでなく、採用試験の裏の裏まで知り尽くしています。現在は、国立大学と公務員予備校で警察試験専門の指導員として勤務しています。学校様からは「合格請負人」との期待で採用してもらっています。

警試塾では、最近報道された時事ニュースの中から、面接試験に役立つ記事のみを私が厳選して取り上げ「【警察面接】最近のニュースと面接対策の重要ポイント」としてシリーズでお伝えしています。

ここでは、面接試験対策と合わせて、警察に入る前の受験生にとって、警察の職場ってこんな感じなんだよと、職場理解や職業理解の一助にもなればと思っています。

今回の記事では、警視庁が新たに導入した新施策について報道がありましたので、それを取り上げてコメントします。

この記事を読んで頂くと、

  • なぜ自治体研究が必要なのか
  • なぜ最新のニュースに接していないと面接試験で不利になるのか
  • 受験生が自治体研究(受験県警研究)をどう進めるか

について理解できるようになります。そして、

  • 「自治体研究をしっかりやろう!」とモチベーションアップにつながる

でしょう。「普段、ニュースは読まないから、この記事で勉強しよう」…そう思って読み始めていただいてもOKです。

今回は、警視庁のニュースを一例に取り上げますが、「自治体研究のやり方」という意味で、すべての警察受験生にとって応用が利くように配慮しています。

目指す警察の「合格」に向け、面接試験当日までこういった小さい努力を重ねていきましょう。それでは今回もよろしくお願いします。

警視庁の時事ニュース (2022.4.8)

●【警視庁 生活安全総務課】
 警視庁防犯アプリ「DigiPolice」に新機能を追加!

今回は警視庁の例を素材に「自治体研究」について考えていきましょう

【あわせて読みたい】
①面接試験で「なにが質問されるか不安」悩んでいませんか?
『何が出るか問題』はここでもう終わりにしてください。警察の面接は、この「300問」すべてです。他に必要ありません。試験に精通した元警察人事が、全300問を伝授します
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【最終記事更新 2022.9.16】

ニュースの概要

警視庁防犯アプリ『Digi Police (デジポリス)』

警視庁は、2022年4月8日、同庁が独自に開発した防犯アプリ『Digi Police (デジポリス)』に新機能を追加したと発表した。

警視庁のアプリ『Digi Police (デジポリス)』は2019年5月に運用が開始されていた。以下は、警視庁『Digi Police (デジポリス)』の画面になります。

『Digi Police (デジポリス)』アプリ トップページ

警視庁の『Digi Police (デジポリス)』アプリには、大きく分けて次のようなトピックスがあります。

  1. 最新のメール(警視庁管内の最新犯罪発生状況・随時更新)
  2. けいしちょうWeb教室(子供から高校生まで向け)
  3. 子供と女性の安全(子供と女性被害に特化したページ)
  4. 詐欺まるわかり(手口・撃退法・被害防止の心得)
  5. サイバーセキュリティ(警視庁サイバーセキュリティ対策本部)
  6. 警視庁HP
  7. 犯罪発生情報(生活安全総務課)
  8. 公開捜査(主に刑事部)
  9. インコの部屋(アプリの利用状況で「巡査」から昇任していく笑)

などの設定があります。

そのほか、付属の防犯機能として

  1. 痴漢撃退(「助けてください」の音声)
  2. 防犯ブザー(タップすると防犯ブザーが鳴る)

があります。

今回は、この①痴漢撃退に新機能が加わったというニュースです。警視庁が本気で痴漢対策を行っていることが分かります。

『Digi Police』機能強化(警視庁が痴漢対策に注力!)

『Digi Police』アプリの中には、痴漢対策として、アプリ画面下部に「痴漢撃退」というタグを設け、このボタンを押すと、下の画面のように「痴漢です 助けてください」という画面が出て、さらに「助けて!」ボタンを押すと、女性の音声で「やめてください」と助けを求める声がエンドレスに流れ続けます。

女性の中には、痴漢に遭うと、恐怖と恥ずかしさと悔しさ等と言った複雑な気持ちでいっぱいになり、声を出すことができなくなることがあります。その時に、アプリが代わりに声を出してくれる、というものです。

出典 HuffPosot Japan 2019.5.30 これまではアプリで「被害者が自己申告」だったが…

そういう意味では、いままさに痴漢の被害に遭っている女性にとって、それなりに役に立つ機能なのですが、恥ずかしく恐ろしい思いから、このアプリの機能を使うなど声を上げることができない女性が多くいるのが現状でした。

電車にはたくさんの人が乗っていますが、痴漢の被害に遭った時に助けてくれる人が必ずいてくれます。そういった方が痴漢に遭っている女性を助け、痴漢犯人を捕まえることを目的に、下の画像のように、「ちかん されていませんか?」のボタンが新設されました。これには音声はありません。この画面を被害女性に見せ、女性がうなずくなど被害を認めたら、周りの人が援助できるようにする、というものです。

警視庁生活安全総務課は「電車内では痴漢の被害者だけでなく、気づいた人も声を出しにくい。画面を見せて『あなたは一人ではない』と知らせてあげてほしい」と話している。

出典 Asahi Online 2022.4.8 周りが気づいたら被害者にアプリで声掛けできるように

警視庁の痴漢対策に対する熱量を感じます。警視庁管内では、痴漢被害対策が大きな課題になっています。専属のチームも存在しますし、多くの警察官が要撃捜査にあたっていますが、なかなか被害はなくならない状況です。

それをなんとか改善したい、という警視庁の意思を感じるニュースです。

「助けてください」使用で初検挙(2022.4.19付記)

この『Digi Police』アプリの新機能「助けてください」画面を使用して、初めて痴漢が検挙されたというニュースも入ってきました。

以下は、日テレニュースから記事を抜粋します。

「電車内で10代の少女の体を触ったとして、会社員の男が現行犯逮捕されました。逮捕に一役買ったのは痴漢撃退アプリ『Digi Police』でした。

捜査関係者によりますと、逮捕された50代の会社員の男は、2022年4月15日の朝、埼玉から東京・北区に走行中の電車内で、10代の少女の体を触った疑いがもたれています。当時、少女は恐怖で声が出ず、スマートフォンアプリを起動させたということです。

少女が使ったアプリは、警視庁が開発した『Digi Police』アプリで、少女はスマホ画面に「痴漢です 助けてください」と表示させたり、「やめてください」と音声を流したりして周囲に助けを求め、被害に気付いた乗客らが男に声をかけ、取り押さえたということです。

調べに対して、男は容疑を認めているということです。」

(出典『日テレニュース 2022年4月19日付け』)

アプリ新機能の初手柄です。警視庁も大々的に報じていますね。少女の異変に気づいた周りの乗客の方も本当に勇気のある行動だと思います。痴漢が1件でもなくなるように、警視庁の熱量を込めた施策が実った素晴らしい結果だと思います。

なお、2022年4月23日現在、アプリダウンロード数は「52万件」になっています。警視庁の警察官・行政職員のざっくり約半数がダウンロードしたとしても、東京都民のみならず、多くの市民が関心を持ち、ダウンロードされ、広く周知されているヒット・アプリになったことが分かります。これを警視庁受験生が知らないのは痛いです。必ず押さえましょう。

なぜ自治体研究が面接試験で「必須科目」なのか

実際に『Digi Police』の撃退機能がどれだけ効果があるかはわかりません。率直に言えば、警視庁の『Digi Police』アプリをスマホに導入している人は少ないと思いますし、さらに実際に、痴漢被害現場でそれを使ってくれる人は本当に少なくなるでしょう。

ここで、警視庁にとって重要なことは、実際のアプリそのものの効果ではありません。これも率直に言えば、「アプリの痴漢撃退機能の効果は限定的」であることは、警視庁自身が一番知っていると思います。

警視庁は、その機能そのものよりも、これを「ニュースとして報道発表することに意義」があると考えています。

例えば、神社で「交通安全祈願祭」をしました、県警のマスコットの着ぐるみと一緒にこども園で「いかのおすし」の話を聞きました…こんなニュースを見たことはないでしょうか?神社でお祓いをしてもらったら死亡事故が減るでしょうか?特定の1つのこども園で警察マスコットが子供と触れ合ったところで声掛け事案や虐待事案が減るでしょうか?…正直減りませんよね

警察としては、ありとあらゆる機会をとらえて、警察はいろいろなことに目を光らせていますよ!今回であれば痴漢も見逃しませんよ!と、マスコミを利用して犯罪者や一般市民に警察の存在をアピールしているのです。

警察のマスコミ報道は「自治体研究の宝庫!」

警察はマスコミを活用して警察活動をアピールしている

難しい問題で市民の協力もらいたいときもある

予算化し強く広報する記事は「県警の喫緊の課題」県警のツボ!

防犯アプリを持っている警視庁はすごいです。大規模自治体とはいえ、アプリの開発には多額の予算を割いているはずです。多額の予算を組むということは、投資額に見合った治安効果を上げることが市民から強く求められるということでもあります。警視庁もこのアプリを、ぜひ有効活用したいと考えているでしょう。

この記事から、警視庁が痴漢被害にかなり多くの警察官の人員と労力を割かざるを得ず、その抑止を本気かつ深刻に考えていることが分かります。痴漢に関わらず、アプリに掲載されているものを今一度見てみてください。「街頭犯罪の抑止」も「特殊詐欺の防止」も「子供安全対策」も「女性の保護」も、すべてが警視庁にとって喫緊の課題なのです。

このように、採用試験の観点でこのアプリを見てみましょう。これが、警視庁の合格対策につながります。

自治体研究の始め方・要領

面接試験で大切な自治体研究対策

警察受験生は普段自治体研究ってなかなかできませんよね。警察の先輩にOB訪問OG訪問ってなかなかできないのが実情です。先輩や交番等を訪ねて直接リサーチするのは本当に難しいです。先輩に会っても、ほとんどの場合有益な情報を得られないからです。多くの人が警察の自治体研究が進まなくて悩んでいます。

そこでここでは、自治体研究の有力な方法についてお伝えしましょう。警察の自治体研究で悩んでいる方は、まず以下のことに注目して取り組んでください。

警察研究はココから始めろ
  1. 都道府県警のHPの調査
  2. 「○○県警 対策」等とネットでググる
  3. 試験期間中は地方新聞の警察関連記事を毎日読む

今回の記事でいえば、警視庁受験生なら、『Digi Police (デジポリス)』の記事は知っていないとだめです。特に、警視庁の生活安全志望の方は着手必須です。

自治体研究は、少し調べれば、受験する県警が取り扱っている重要な事案や課題が1つや2つはすぐに出てきます。毎日新聞記事に接していれば「警察官になったら、こんな事件に携わりたい」そんな記事が見つかるはずです。

面接で差がつく自治体研究ですが、要は、事前に調べているか調べてないか、知っているか知らないかの違いだけです。知っていれば合格に近づき、知らないと面接会場で負けう…それだけのものです。

また、先輩訪問をするにしても、交番訪問するにしても、そういった調査研究がなければ、せっかく勇気を出して訪問に行ったのに、「有益な情報ゼロ」「収穫ゼロ」で帰ってきてしまうことになりかねません。

試験終了後に後悔するのは、警試塾生ならナシです。上の3つは今すぐ始められます。まずはすぐ、自治体研究を始めましょう。今日から始めましょう!

さあ警視庁へ! 絶対合格のために受験生は自治体研究!

【面接対策】自治体研究の成果は面接官に必ず届く

心理学の有名な言葉に「人は感情で動く。理屈・理由は感情の後付け」というのがあります。人は、文字通り「感情」で動くのです。感情で行動するのです。

例えば、欲しいと思った物があるとします。まず感情が動きます。とにかく感情で「欲しい!」のです。モテたい・目立ちたい・自慢したい・褒められたい・成功したい・恥ずかしい思いをしたくない・失敗したくない・損をしたくない…すべて感情です。

でも出費をするとなると、家族や配偶者などに反対されるかもしれないですよね。そこで理屈を後付けします。「これは生活を便利にしてくれる」「私たちの毎日を改善してくれる」「時間を短縮してくれる」「人生の質を高めてくれる」…などと、理由・理屈を後で付け足して、衝動買いしてしまった自分の感情を補償し慰めようとします。

面接試験も同じです。面接官も「感情」で評価します。客観的に評価ってなかなかできないです。「良いな、この受験生」「すごいな、この受験生」「好意を感じるな、この受験生」…とまず感情が動きます。そして、「これなら少年課で活躍してくれそう」「緻密だから刑事で手口分析に向いているな」などと後で理屈を後付けします。

「受験生の自治体研究」は面接官が感情を動かされやすい部分です。「よく勉強しているな」「熱意があるな」と率直に感情を動かされます。自治体研究の研究量・熱量は、他の受験生と比較しやすいのです。これができるとすごく目立ちます。

一方で、例えばガクチカや志望動機というのは、相対的に比較が難しいです。差が生まれにくいので感情が動きにくいです。

自治体研究の研究量・熱量は、面接官に届きやすいですので、ぜひ自治体研究を厚くおこなってください。必ず良い結果につながりますよ。

自治体研究

自治体研究の熱量・研究量は他の受験生と比べやすい

熱量・研究量が高いと面接官の「感情」を揺さぶりやすい

まとめ

今回は、警視庁が独自に開発した防犯アプリ『Digi Police (デジポリス)』を題材に、自治体研究について解説しました。

日本最大の自治体警察の警視庁の施策です。開発費や運営費・広報費などかなりの予算を組んで運用をしています。警視庁以外の自治体ではここまでのことはできないくらい熱の入れようだと推察します。

今回のニュースでは痴漢対策を取り上げていますが、子どもの安全・女性の安全・特殊詐欺対策・人心安全関連対策・街頭犯罪抑止対策・交通死亡事故対策など、警察で喫緊の課題となっているトピックスがてんこ盛りになっています。警視庁受験生は、このアプリを研究しない手はありません。他の自治体を受験する方も、受験する都道府県警がいまどのようなことを課題として考え、それをどのように解決しようと努力しているか。これを研究しなければなりません。

自治体研究は、面接試験で質問すると、他の受験生と比較がしやすいです。自治体研究の質問をすると、受験生の熱意・研究量(=真の勉強量)が浮き彫りになりやすいです。本当に警察官になって活躍したいと言うなら、「具体的に自分が活躍している姿」がある程度クリアに説明できるはずだからです。

自治体研究は、面接官の感情に届きやすいです。面接官は、感情で受験生を判断し、理屈・理由は感情の後に後付けすることが多いです。自治体研究を十分に行っていきましょう。自治体研究のメリットはとても大きいです。

自治体研究の方法は、主に3つです。

  • 受験する都道府県警の「HP」を調べる(警視庁のアプリ含む)
  • 都道府県警の「喫緊の課題」を推察してググる
  • 試験期間中は地方新聞を毎日読んで「警察関連記事」に接する

です。

研究の方法が分からない、という方もいらっしゃると思いますが、難しく考える必要はありません。まずは

  1. とにかく、情報に接する機会を増やすこと
  2. 気になった記事をノートに覚書していくこと
  3. その情報量の蓄積を増やすこと

情報を蓄積すると、そのうち自然と方向性が見えてきます。これを繰り返していきましょう。地味で地道な作業を試験期間中は毎日続けましょう。それがあなたの自治体研究の第一歩です。

さあ、すぐに今日から自治体研究を始めましょう!

 

今回もお読みいただき誠にありがとうございました。

(完)

 

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元警察人事で勤続34年の元警察官 現在は大手公務員予備校で警察試験専任講師、国立大学就職課警察試験担当指導員 日本で唯一の本格的警察採用試験指導塾「警試塾」運営
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