受験は要領シリーズ

【試験の裏側】なぜ採用と決まるのか「採用者決定会議」とは

「採用者決定会議」をご存じでしょうか?あなたの採用・不採用を決定する警察内部の大切な会議です。その会議は、あなたの面接試験が終わった後、採用試験の最終段階に、警察本部のVIPがいる一室でひそかに開かれます。

「面接官にあなたの合否を決定する権限はない」と聞くとどう思われるでしょうか。「試験の後のことなんて、考えたことがなかった」「初めて聞く」という方もいれば、「なんか裏事情があると思った」と思われる方もいるかもしれません。では、面接官に決定権がないなら誰にあるのでしょうか?

面接試験そのものにはみんな関心が高いです。でも、実は、警察の採用試験の裏側がどうなっているか知らない人も多いのではないでしょうか。そういった情報を知っていれば、そもそも戦略の練り方も受験対策の方向性もずいぶん違ったものになってきますよね。

私は、警察官人生の中の7年間を人事課で勤務してきました。その7年間に採用試験の裏の裏まで見てきました。また、人事課を異動になった後も警察本部から「シニア・リクルートリーダー」に公式に認定され、本部公認のリクルーターとして多くの受験生の個別指導に当たってきました。私は、私にとって「当たり前」のことが、皆さんにとっては「当たり前ではない」と気づいてこのブログを立ち上げることを決めました。

この記事では、警察の採用試験の最終段階で開催される「採用者決定会議」について解説します。また、実際にあなたの採用不採用を決定する人は「誰」なのか、どのように決定するのかについても解説します。

この記事を読むと、その採用の決定過程を知ることによって、警察試験の合格のための最短ルートが分かります。つまり、どのように受験戦略を立て、何に重点を当てて勉強をしていけば良いのかが分かります。また、無駄な勉強をなくして最少化しあなたの努力を最大化することができるようになります。

女子受験生

合否は「運」に任せます…

難しいことは知らなくてもいいです…

キミマル塾長

ちょっとお待ちください

どのように合否が決まるか分かれば勉強量を最少化できますよ

女子受験生

最少の勉強量で合格できるんですか!?

それなら知りたいかも!

キミマル塾長

「採用者決定会議」のことは知っていて損はないよ

ここから何を勉強すれば良いかが分かります

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①面接試験で「なにが質問されるか不安」悩んでいませんか?
『何が出るか問題』はここでもう終わりにしてください。警察の面接は、この「300問」すべてです。他に必要ありません。試験に精通した元警察人事が、全300問を伝授します
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あなたの採用を決めるのは面接官ではない

「採用者決定会議」という会議をご存じなら、あなたはなかなかの業界通です。でも、ほとんど方は知らないでしょう。文字通り警察の採用試験において、最後の最後に採用者を決定する会議です。

会議の議長を務めるのは都道府県警察本部のトップである警察本部長です。警察内部では、警察本部長のことは「任命権者」とも呼ばれています。警察本部長は「警察の人事権の『すべて』」を持っておられるからです。

「誰を合格にするか」を決めるのももちろん警察の人事権です。ですので、各都道府県警に1人、警察本部長だけが「合格者を決定する」権限があるのです。多くの方が誤解していることですが、採用するかどうかを決めるのは面接官ではないのです。あなたを採用するかどうかを決めるのは各都道府県警におられる警察本部長ただ1人だけです。

あなたの合否を決めるのは

合否を決めるのは、面接官ではなく警察本部長

採用者決定会議とは

すると、ここで次のような疑問を感じる人がいるかもしれません。

  • 「警察本部長が、私の面接をしていたの?」

本部長の程の方は一般の採用試験ぐらいには出てきません。本部長は、面接はしていないけれどあなたの合否を決める人なのです。考えてみると不思議なことです。採用試験は、警察組織にとって極めて重要な場のはずです。将来の都道府県警を支える新人を採用する場だからです。

では、本部長はどのようにあなたの合否を決めるのか。それは面接官が作成した合否判定資料を見てあなたの合否を決めるのです。面接官は、本当に精力を尽くしてそれらの資料作成に当たります。人ひとりの処遇を決定することですから、本当に思い作業です。

では、警察本部長がご覧になる資料を開示します。面接官が力の限りを尽くして揃えた資料ですし、これがあなたの合否を決定する資料です。この一覧表は今回の記事で一番重要なところになります。

「採用者決定会議」で本部長に提出される資料
  • 面接試験の採点表
  • 論作文の答案
  • 面接カード
  • 適性検査の結果
  • マークシート・体力試験の結果
  • 身上調査票

※優先度の高い順に掲載(都道府県警により差あり)

それぞれについて簡単に解説します。

採用者決定会議で使用される各資料について

面接試験の採点表

面接試験の採点表は、この一覧表の中で群を抜いて1番重要です。1番重要…どころか面接試験の採点表の採点表で合否が決まると言っても過言でないくらい重要です。これは、あなたの面接を行ったすべての面接官が採点を付けたものを、面接官の中でトップの階級にいる人(例えば首席など)がまとめたものになります。

警察の採用試験は受験生の「人物評価」に尽きます。面接試験のやり取りで警察側が求める資質が受験生にあるかを確認して採点表に落としていきます。

この採点表に関しては面接関連記事群でまとめています。

キミマル塾長

面接試験の採点表は最重要資料

面接試験の合否=試験の合否

論作文試験の答案

論作文試験の答案に限らず、受験生が文字で書いたものは最後まで(つまりこの採用者決定会議まで)残り続けます。論作文試験も人物評価として採点されています。「基本的な文章作成能力」は見られれます。しかし、それ以上に、論作文の答案から、偏った思想の持ち主ではないか、冷静な判断ができる人物かなどといった人物面を評価されています。

この論作文試験についても論作文関連記事群でまとめています。

キミマル塾長

論文の答案は最後にキャスティングボードを握る

「文字」で書いたものは「最後」まで残る

面接カード

受験生が書いた面接カードも最後の採用者決定会議まで残ります。 判定会議で使用される際の重要度も高いです。論文試験の答案も同じですが、受験生が「文字」で書き記したものは最後の最後までくっついてきて残ります

面接カードは「試験会場でいきなり渡されてその場で書く」という都道府県警は多いです。いつまでも残るということを念頭に、試験会場でいきなり書くのではなく必ず下準備をしてから会場入りしましょう。はっきりと言えば、面接カード作成は「試験」です。面接カードへの考えを新しくアップロードしていきましょう。

面接カードの記載内容については、面接カード記事群にまとめています。模範解答例も公開していますので一読していただければ価値はあると思います。

キミマル塾長

面接カードを試験会場で行き当たりばったりで書くのは絶対にNG

面接試験だけでなく最後まで残る重要資料だよ

適性検査の結果

受験生にとって意外なものがこの適性検査の結果だと思います。都道府県警が行う適性検査は、YG性格検査や内田・クレペリン検査の2つが主流になっています。ほかに、MMPIやバウムテスト、ロールシャッハテストを課すところもあるようです。

適性検査は、いずれも心理検査で、臨床心理士や公認心理師が心理臨床の現場で使用しているものと同じです。つまり、あなたの意識の上に出ている心理レベルではなく、「無意識」か少し浅い「前意識」あたりをこの検査で探られています。

適性検査のポイントは次の3つです。

  1. 回答を操作すると不合格
  2. 適性検査の結果と面接試験の結果が一致しているか
  3. 警察官や警察行政職員として適性があるか

このうち、判定会議では、特に「2」の面接試験の結果と適性検査の結果が一致しているかが重視されます。一致しなければ、面接試験で「うそ」を言っていると分かるからです。

適性検査の取り扱いについては、適性検査の詳細記事をご覧ください。

キミマル塾長

適性検査は深いレベルの心理まで出ます

良く見せたいからと「操作」は厳禁!

マークシート・体力試験の結果

皆さんが好きなマークシートの検査は、判定会議では「おまけ」のような扱いです。重要性は高くないです。マークシートの基準点に達していれば、ギリギリ下の方でも特に問題になりません。

ただ、かなり高得点になっていると「能力は高いな」と思われることはあります。高得点であることに越したことはありませんが全体の判定的には「参考程度」で終わります。

体力試験の結果も同じです。基準点さえクリアしていればそれで良いです。こちらも高得点であればそれなりに評価を受けますが、高得点だから採用ということにはなりにくいです。

キミマル塾長

マークシートや体力はウェート小さい

試験は「面接」と「論作文」に注力を

身上調査票

一般に「身辺調査」と呼ばれています。これは重要性はかなり高いです。実は、面接試験の採点表に次ぐ扱いになります。こちらは皆さんの「努力」ではいかんともしがたいものです。それであえて下位にランクしています。警察を退職した私でも、その内容は公表できない部分があります。ここは加点法ではなく減点法になります。

ただ、ほとんどの人は特に問題になる部分ではありません。私の感覚的には95%の人は気にする必要はないところです。まずは「そんなものもあるのか。95%なら大丈夫だろう」くらいで思っていてください。

採用者決定会議の流れについて

全体に占める割合
A評価の人
(すぐに欲しい)

10%
B評価の人
(ボーダーライン)
85%
(ほとんどの人がココです)
C評価の人
(今回の採用見送り)
5%

会議の流れを簡単に解説します。

【第一段階】「絶対に採用したい人」を決定

警視庁や大阪府警などの第1回試験は比較的早い時期に開催されます。その合格発表は7月ごろにはあります。このように早い時期に合格発表がある試験は採用側は慌てません。しかし、第2回以降の試験や中小規模警察の採用試験になると少し事情が違ってきます。最終の合格発表は秋になるのが一般的になります。

採用側が一番恐れるのは、優秀な人材が他の職場に流れて行ってしまうことです。民間ではもちろんですが、公官庁でも「青田買い」をすることが多いです。私が指導したある受験生は、ある公官庁から「これ以降他の受験はせず、いまこの場で『うちに来る』と約束してくれれば〇〇大臣名で採用内定書を出す」と言われて本当に動揺したと話していました。

優秀な人材ならつまり「A評価」の受験生は警察もすぐにでも欲しいです。しかも、警察で「A評価」の受験生は他の試験でも「A評価」を受けていることが多いです。だから、警察もできるだけ早く採用通知書を郵送して、他からの青田買いを阻止したいと思っています。なお、A評価に該当する受験生は、例年おおむね約10%になります。

採用者決定会議に戻ります。採用者決定会議で本部長に報告する筆頭面接官は、まず「A」評価の絶対に欲しい人を、その選定理由とともに本部長に報告します。筆頭面接官の報告に対して、ここで本部長から異論が出ることはほとんどないです。A評価の人はすんなり決まることが多いです。

キミコ副学長

A評価の人はかなり少数派です

目指すはB評価の上位クラス!

【第二段階】「不採用にする人」を決定

絶対欲しい受験生の検討が終わったら、次に来るのは「不採用にする人」「今年は採用を見送りたい人」の決定です。

筆頭面接官から警察本部長に、不採用にする人とその理由が説明がなされます。不採用理由は、上の6つの書類が説明の根拠になっています。

不採用になる理由で最も多いのは、面接試験の採点表の結果です。不採用になる人は面接試験が弱いです。

警試塾では、警察の面接試験では「あなたのふつう力」が問われると繰り返し強調してきました。ここで引っかかってしまう人は、いまのあなたのどこかに警察官や警察職員として「ふつうではない」言動・振る舞いがあったと判断されています。不採用になる人の評価は「C」です。例年おおむね全体の5%くらいになっています。

まず、面接試験で警察が「絶対に」採用しない人の特徴を「トップ3」形式でまとめます。

  1. 不祥事を起こしそうな人
  2. 途中で辞めそうな人
  3. 協調的でなく警察で仲間とうまくやっていけない人

この3つのいずれかに該当する人は、警察ではまず採用にはならないです。面接試験のやり取りでそれを感じ取られてしまったら致命傷になります。

次に、不採用になる人の特徴はまだほかにもあります。ただ、今回はそれを書く記事ではありませんので細かい特徴については割愛します。

話を進めさせていただきます。本部長は、筆頭面接官の「不採用理由」を確認します。

  • 「なぜこの受験生は不採用なのか」
  • 「他の面接官も同じ意見か」

それについて筆頭面接官はその1つ1つに理由をつけて説明します。「なるほど。これなら不採用になるね」と警察本部長も納得の「不採用の理由」が説明されるのです。

なお、面接関連の記事群でこのあたりの詳細をまとめていますので、興味のある方はそちらをご覧ください。

キミマル塾長

不採用には理由があります

正しく勉強すればB評価上位クラスには誰でもなれます!

【第三段落】「ボーダーライン」で大混戦

「欲しい人」→「不採用にする人」と決まったら、最後はボーダーラインの人です。例年、85%の人がこの中におられ、この85%で大混戦になります。

基本的には評価が良い人から順に採用が決まっていきます。その際上記の6書類のうち特に「面接試験の採点表」が重視されて1人また1人と採用になっていきます。

そして最後の最後、もうこれ以上は優劣つけがたく選べない、というところまで来ます。例えばあと5人選ばなければならないのにボーダーラインに15人いるといった状況です。そこで使われるのが、上記6書類のうち面接試験の採点表を除く5つの資料になります。論文試験の答案で合否が決まることもあります。面接カードの内容で合否が決まることもあります。適性検査の結果が良い人が選ばれることもありますし、体力試験の成績が群を抜いて優秀な方が選ばれることもあります。

皆さんのアドバイスです。警察の試験は面接試験で決まると言っていいです。しかし、最後の最後に採用者が決定される場面では論文試験の答案面接カードの内容が合格の決め手になったり、適性検査の結果体力・マークシートキャスティングボードを握ることもあるということを覚えておいてください。

  • 面接カードを準備しないで書いてはいけません
  • 論文試験の答案もしっかり書かなくてはいけません

ここをよく覚えておいてください。

キミマル塾長

面接カードと論文の答案は最後の最後であなたの合格を後押ししてくれます

面接カードと論作文試験は大切にしましょう

受験戦略

B評価上位クラスは誰でもなれる

B評価上位に食い込める努力をしたい

やるべきことは多くはない!努力を最少化して集中しよう!

警視庁本部
警視庁警察官

ぼくの採用も警視庁の「採用者決定会議」で決めてもらいました

警視総監殿には感謝です

あ、警視総監は警視庁の本部長のことね

警察本部から届く3種類の通知

採用者決定会議が終了してしばらくすると、受験生のもとには通知書が届きます。通知書には3種類あります。3種類のうち1つが届きます。

その3種類の通知書は以下の3種類です。

  • 採用通知書
  • 不採用通知書
  • 保留通知書

です。以下の表をご覧ください。

全体に占める割合 手元に届く通知書 
A評価の人
(すぐに欲しい)

10%
採用通知書
B評価の人
(ボーダーライン)
85%
(ほとんどの人がココです)
採用通知書 
保留通知書 
不採用通知書
※いずれか1つが届く
C評価の人
(今回の採用見送り)

5%
不採用通知書

3種類の通知書について順番に解説します。

採用通知書

A評価に人には、全員に採用通知書が郵送されます。文句なしの好成績です。警察としてはA評価の人には1日でも早く届けたいと思っています。

B評価の人にも、採用通知書が郵送されます。A評価に準ずる優秀な人材と採用者決定会議で評価された人に郵送されます。採用通知書が届けられればA評価だろうとB評価だろうと関係ありません。採用者決定会議ではいろいろあったかもしれませんが、警察官として警察行政職員として文句なしの成績です。

キミマル塾長

「採用通知書」がわたしたちのゴールです

不採用通知書

C評価の人に送られます。準備不足・研究不足・勉強不足など様々に原因はあるだろうと思いますが、採用者決定会議が「今回の採用は見送りたい」「次回試験への健闘を期待したい」と思う受験生に郵送されます。

B評価の下位受験生にも送られます。採用者決定会議の結果、ボーダーライン上におられ他の受験生と甲乙つけがたいと思われましたが、相対的に(他の受験生と比べて)評価を落としてしまった人に送られます。

今回受験した試験では採用の芽は完全になくなったことを意味します。残念ながら、どれだけ待っても「繰り上げ合格」といった通知は来ません。たったこの1枚の紙で自分の合格がなくなったかと思うと、本当にやりきれない瞬間です。

保留通知書

B評価の中位の人に送られます。都道府県警によっては保留通知書ではなく、次点通知書などといった名前になることもあります。不採用通知書という形で来ることもあります。不採用通知書で届けられていますが、文末に「保留」「繰り上げがあるかもしれません」といった言葉が添えられています。

採用者決定会議で、本当にボーダーライン上のギリギリにいた受験生で、本当にあとわずかな差で採用者数の枠に入らなかった方がこれに当たります。運がないケースと言えます。

警察から採用通知書が届けられる人の中には、その県警の採用を辞退する人もいます。他の県警と併願していて両方から採用通知書を受け取るような場合です。

その方が辞退すると、次点から1つ繰り上げになります。すると、次点だったあなたに即日採用通知書が発行されます。うれしい瞬間です。しかし、採用通知書が来ないことも多いです。保留通知書は何人かに出していて、次点の3番目になっている場合、3人が辞退しないと自分に採用通知書が届かないです。

保留通知書が届いた受験生へのアドバイス

これは、私が人事課に勤務している時の実例ですが、警察学校に前日入校する10日前の3月20日に保留者に採用通知書を発送したこともありました。直前に辞退が入り私どもの慌てましたが、送った保留者からはすぐに「受諾」の返事をいただき定員数を埋めることができました。参考ですが、直前で採用を勝ち取った時点の方は、今は某警察本部の捜査第二課で特捜警部をされておられます。警察本部としてはまさに直前で大きな「拾い物」をしたようなものです。良い人材をいただきました。

ただ3月20日に届くというのは極めてまれなケースです。保留通知はいつ届くかわかりませんし届かないことも多いです。保留通知書が届けられた場合は苦しい時期を過ごすことになります。

保留通知書が届いた場合には、基本的には「不採用通知書」が届いたと思った方が良いです。受験した警察のことはいったん忘れて受験した警察「以外」の就職先や選択肢を検討することを強くお勧めします

キミマル塾長

保留通知書が来たら残念ですが気持ちを切り替えるしかないです

期待が大きいとメンタルが持たないです

冷静に「次」を検討しなければならないです

まとめ

最後にポイントを整理します。

受験戦略で考えたい5つのポイント

【ポイント1】あなたの採用を決めるのは面接官ではない

面接官が採用において重要な役割を持っているのは間違いありません。しかし、面接官には人事権がありません。人事権があるのは警察本部にただ1人「警察本部長」だけです。面接官は、警察本部長が採用者を決定するのに必要な資料をそろえるのが仕事です。

【ポイント2】警察本部長が採用者決定会議で決定する

警察本部長が出席して採用者決定会議が開かれます。誰を採用して誰を不採用とするか、本部長のご裁可をいただきます。本部長は本庁(警察庁)から各都道府県警に出向で来ているキャリア官僚です。

本部長は、警察庁の強い意向を受けて採用試験を実施します。そして、採用現場にいる面接官に対して、本庁の意向を十分に伝え「このような人材を採用するように」と強い指示を与えます。

面接官は、極論すれば、本部長の指示通りに面接を行っているだけです。面接官の頭の中にあるのは「設計図通り」の人材を採用することだけです。その「設計図」に当てはまらない人材なら不採用にするだけ、というのが採用試験の実際の姿です。

採用試験の警察内部の力学

本庁(警察庁)

 ↓「このような人材を採用しなさい」と本部長に指示

警察本部長

 ↓「このような人材を採用せよ」と面接官に指示

面接官

「わかりました。このような人材を採用します」

【ポイント3】あなたの採用・不採用を決める「6つの重要書類」

筆頭面接官が本部長に、採用候補者の中から採用と不採用の人を報告します。その際、理由を必ず説明します。採用する理由と採用しない理由です。特に本部長の関心を集めるのは、不採用者を採用しない理由です。筆頭面接官はそれに対して、6つの書類を本部長に提示しその理由の根拠を説明します。

6つの書類の中で、最も重要なのは面接試験の採点表です。面接試験の採点表でほぼ合否が決まります。しかし、多くの候補者がボーダーライン上にいて、このうちから誰を採用にするか判断に迷う場合もあります。そのときには、論作文の答案や面接カード、適性検査の結果がキャスティングボードを握ります。

最終的には本部長の意向を十分汲みとり、総合的に判断して採用と不採用が決定します。この結果、受験者は「A評価」「B評価」「C評価」に分けられます。

【ポイント4】採用不採用決定後にあなたに届けられる「3種類の採用通知書」

採用者決定会議が終了したら、警察本部の人事課は、すぐに通知書発送の準備をします。人事課が発送する通知書は、採用通知書・不採用通知書・保留通知書の3種類です。

採用通知書が届いたら採用決定です。これが私たちの目指すゴールです。不採用通知書が届いた場合、本当に残念ながら「今回」の受験では採用の可能性はなくなりました。保留通知書が届いた場合は、採用された人が辞退するのを待つことになります。辞退者が1人出るたびに、保留者が1人繰り上げで採用になります。

【ポイント5】保留通知書が届いた場合のアドバイス

保留通知書が届いた場合には、今回受験した警察のことはいったん忘れた方が良いです。保留通知が届いて繰り上げ採用になる可能性は高くないです。気持ちを強く持って、また、気持ちを切り替えて、できるだけ「次」に向かってアクションを起こすのが得策です。

面接試験は、面接官の当たりはずれもあり「運」がない時もあります。しかし、また次回も受験することができます。年齢ぎりぎりまで受験し続ければよいのです。私も3年目の受験でようやく合格することができました。私の同僚には「8年目の受験で合格した」というツワモノもいます。1年目で合格できる人は実力もありますが運も味方します。諦めさえしなければ警察官や警察行政職員になりたいという夢は自分の手で手繰り寄せることができます。

今後の受験戦略について

今回の記事で、警察受験に必要なものが見えてきました。

最も重要なのは面接試験

大切なのはやはり面接試験です。警察の試験とは面接試験のことです。他の試験は採用者決定会議では「参考程度」の扱いです。ただ、キャスティングボードを握るものもあります。「面接試験対策に力のすべてを集中する」という軸は絶対に忘れずいてください。そのうえで、あまった力で他の試験対策をする、という戦略で行きましょう。

面接試験対策のスタートは面接カードの「志望動機」欄から

警察の試験をどこから始めたら良いかわからない人がいたら、私は迷わず「面接カード」から始めるようにアドバイスします。面接カードは面接試験対策の軸になるものです。面接カードには書く項目がたくさんありますが、まず「志望動機」欄から書くことを強くお勧めします。志望動機が警察の試験のすべての出発点と私は思っています。

面接カードや志望動機欄の書き方については、本警試塾のメインテーマです。もっとも手厚く記事群でまとめていますので、そちらのページを覗いてみてください。リンク先を貼っておきます。

「良い警察情報」にたくさん触れよう

今回ここまで読んでいただいたあなたは「0」が「1」に変わる合格への大きな一歩を歩きだしたと思います。 あなたはこれから毎日「良質の警察情報」に触れ続けてください。そして警察試験合格の日まで毎日「警察のことで頭をいっぱい」にしていってください。頭が警察情報でいっぱいになればどんどん合格に近づきます

警試塾では、「正しい警察情報」「正しい受験情報」「正しい受験アドバイス」を発信を続けています。あなたが方向性を誤ることなく、警察試験の合格に必要な正しい情報をこれからも発信していきます。 これからもこのサイトが少しでもあなたのお役にいいなと願って書き続けています。

ただ注意が1つあります。ネットでは若くして警察を退職した元警察官などが無責任な情報を流しているのを目にします。受験生を「不安」に陥れたり警察受験を諦めさせたりするような「絶望」を煽る言動をしている人もいます。そういった「炎上商法」の警察情報は避ける方が賢明です。あなたにはまだその情報が正しいか誤りなのかさえ判別が難しいと思います。

そういった情報に接して「不安」や「絶望」を感じたらまたこのサイトに戻ってきてください私はいつもあなたの応援隊になってここで待っています。

それではまた次回のページで学んでいきましょう。あなたの合格だけを心からご祈念しております。

(完)

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ABOUT ME
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元警察人事で勤続34年の元警察官 現在は大手公務員予備校で警察試験専任講師、国立大学就職課警察試験担当指導員 日本で唯一の本格的警察採用試験指導塾「警試塾」運営
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