論文作文添削塾へようこそ(ページの最後に「模範解答」を掲載)
- 「論文の答案は誰に見てもらえばいいの?」
- 「学校の先生に答案を見てもらっているけど…」
- 「警察のことを知らない先生だから本当にこれで大丈夫か不安」
- 「答案はいつも行き当たりばったりで書いてる…これじゃダメってわかってるけど」
あなたはこのようなことで悩んでいませんか。
論作文試験に苦手意識を持っている人は多いです。私が教室でご指導している受験生も私のところに来られるまでは、みんな苦手意識を持って「全然書けない」と頭を抱えていることが多いです。
論文の添削をしてほしいです。
でも誰に見てもらえばいいか分からなくて。
学校で見てもらってますがこの答案で本当に大丈夫か不安。
警察の専門の人に答案を添削してほしいです。
論文試験に苦手意識があります。
どこからやったらいいか分かんないんです。
安心してください。
警察人事歴7年の私が添削・ご指導します。
警試塾「論作文添削塾」へようこそ!
でも大丈夫です。実は論作文試験は誰でも得意科目にすることができるんです。なぜなら、書き方に公式があるからです。その公式を覚えてしまえば、あとはその公式通りに書けばよいからです。
私は、某警察本部で7年間人事課に在籍しました。また人事課を離れた後も警察本部から「シニア・リクルートリーダー」の指定を受け、長年にわたり数多くの受験生を合格に導いてきました。現在も、某大手公務員予備校や大学などで指導を続ける警察試験専門の指導員です。
今回の【論作文添削塾】では、警察行政職員志望Sさんが実際に書いた答案を添削していきます。テーマは「地方創生」です。
警察の論作文答案は「警察独特」です。他の公務員の論作文とは書く内容が違います。それは、警察の仕事を理解していたり警察官に必要な資質が分かっていないと書けないものです。だから、学校の先生に警察の答案指導は難しいのです。
今回の記事を読むと、論作文試験で頻出の「地方創生」答案の書き方が分かります。また、警察の試験で合格答案を書くために必要なポイントが理解できます。
なお、【論作文添削塾】では番外編として【基礎講座】を別に解説しています。本記事は論文の添削に特化したページですが、超初心者でも分かる警察答案の書き方を解説しています。こちらのページもご覧になられることを強くお勧めいたします。
【答案作成基礎講座】警察試験「合格答案の書き方」論作文は暗記科目! ←おススメ記事
警察の論作文試験は「警察独特」です。
合格答案には「警察の仕事の理解」書込みがどうしても必要。
警試塾はあなたの警察試験合格を全力応援するサイトです。
このページの最後には、模範解答例を添付しています。
本題に入る前に、先に記事の概要です。
- 警察行政職員志望Sさんの答案
- Sさんの答案を「失敗答案」にしてしまった最大の原因は?
- 下書きは重要…では何を下書きするの?
- 下書き段階の「模範設計図」を公開
- 「模範答案」を公開
- 最後まで読んで頂いたあなただけに「これを使うと『合格答案』に変わるパワーキーワード3選
【警察人事が個別指導|論作文添削講座】
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警察行政職員志望Sさんの答案
生活安全課志望のSさん
Sさんは、当時大学4年生で女性の方です。私が講師を務める予備校の専科生で入学していました。公務員担当の部長先生から「指導をお願いをしたい」と依頼を受け、私のところに来られました。Sさんは地方都市の出身。わざわざ時間をかけて予備校まで通学していました。おとなしい控えめな性格の方でしたが、初めてお会いした時から「必ず試験に合格したい」と熱意が伝わってくるような方でした。Sさんはその熱意が実って、この年見事第一志望の県警に合格。現在は某警察署で会計課の窓口業務をされています。受験時の志望部署は生活安全課でした。
添削課題文
Sさんが書いた答案の添削課題文は次のとおりです。
○課題表題:「地方創生に向けた取組について」
○本文説明:『まち・ひと・しごと創生法』が平成26年11月に制定され、人口の減少に歯止めをかけ、大都市一極集中を是正するとともに、活力ある日本社会を維持するため、『地方創生』に国や地方自治体を挙げて取り組んでいます。『地方創生』を進め、活力あるふるさとづくりを実現するために、○○県において特に取り組むべきと考える課題とその理由を挙げるとともに、具体的にどのような施策を実施すべきか、あなたの考えを述べなさい。
○補足説明:「まち・ひと・しごと創生法」とは
急速な少子高齢化に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、下記の事項の一体的推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施することを目的として、平成26年11月に制定された。
- まち:国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会の形成
- ひと:地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保
- しごと:地域における魅力ある多様な就業の機会の創出
【800文字程度 70分】
Sさんの書いた答案
Sさんに掲載のご承認を頂きましたので、次に、Sさんが書いた答案を書いたそのまま掲載します。
「近年、大都市一極集中によって、地方が過疎化するという問題が起こっている。しかし、昨年は、新型コロナウイルスの影響もあってか、当県に移住してきた人は千人を超えることとなった。リモートワークが進み、地方でも仕事ができるように変化したことから、「しごと」に対する不安は軽減したようにも思われる。さらに、活気のあるふるさとづくりを促すためにも、私は、住みやすい「まち」づくりについて、焦点を当てる。
安心した町づくりを課題として挙げた理由は2つある。1つは、当県では、十分な教育・3世帯家族、ワークライフバランスが整った、住みやすい環境が大都会と比べて整っている。この良さをさらに伸ばしていくことが大切だ。もう1つは、交通機関の延伸の影響によって、当県に訪れる人の数が増えるだろう。そういった方が当県を観光しやすい交通整備を行う必要がある。当県は車社会ということもあり、車を持っていない県外の人が増えることで、交通の活発化が課題になる。では、どういった取り組みを行うべきだろうか。
私は、地域の人とコミュニケーションを大切にしながら、周遊ルートを整備することが重要だと考える。観光客メインの整備をすると、住民とは騒音などのトラブルにもなりかねない。また、地元ならではの良いところを住民の意見から取り入れることができる。このように、行政だけでなく、県民を交えた開発会議を行うことで、さらに発展した街へと変化するだろう。また、地域活性化し人が集まることで、治安が悪くなっては、元も子もない。地域発展を進めながらも、治安維持を忘れてはいけない。
このように、様々な人が、主体となって、町づくりへと取り組んでいくことで、地方創生へとつながっていくと考える。」
【752字】
他の人の答案を読む機会はあまりない。
私の教室では「相互読み勉強法」を行っています。
あなたもここで他の受験生の答案を読むよい機会にしましょう。
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警察行政受験生が書く「地方行政」系論文の注意点
警察行政職員の論文試験は、都道府県警によって出題傾向が異なります。大きく分けて2種類あります。
- 警察行政職員として「警察」関係の論文を書く
- 警察行政試験だが県庁行政と同じ「行政」関係の論文を書く
Sさんが受験された県警は「2」に該当しました。警察行政職員なのに、県庁行政と全く同じ論文課題を課す県警でした。警察行政職員志望ですから、論文課題も警察関係の出題をしてほしいところですが、その県警の方針ですのでそれに合わせた対策をしなければなりません。
警察行政職員を受験する人は、必ず自分が受験する都道府県警の過去問を調べ、「警察」型の課題が出るのか「行政」型の課題が出るのか確認しましょう。出題傾向によって取る対策が全然違ってきてしまいます。
警察行政志望なのに「地方行政」の論文が出ます。
そんなこともあるんですか?
警察行政の出題傾向には県警により2種類あります。
- 警察官と同じ「警察」関係の課題
- 県庁行政と同じ「地方行政」関係の課題
Sさんの県警は「行政」型の出題傾向ですね。
自分が受験する都道府県の出題傾向を必ず調べておこう
※「警察」型か「行政」型か、いますぐ必ず確認を!
Sさんの答案添削
それでは、Sさんの答案添削を始めます。
最初に課題文の出題意図を整理
論文の添削を始める前に、最初に課題文の論点整理を行います。
論文試験では、絶対にやってはいけないNG行為があります。それは「課題文の出題意図に答えない」ことです。今回の課題文で書くように求められているものは何だったでしょうか。
- 活力あるふるさとづくりを実現するために特に取り組むべき課題
- その課題を取り上げた理由
- 具体的な施策
この3つでしたね。答案にはこの3つを書きます。
もしかすると「言われたことを書くなんて当たり前じゃない」と感じた人もいるかもしれません。でも、試験会場で制限時間ありの中で書くと、案外書けていない人が多いのも事実です。課題文が何を書くように求めているか、論文を書き始める前に必ず確認してから論文作成に取り掛かりましょう。
課題文が求めていることを必ず書こう
※今回なら「課題」「理由」「対策」を書けとあるからこの3つは必ず記述する
Sさんの論文構造
その観点でSさんの答案を見てみます。Sさんの答案は4段落で構成されています。
【第1段落】課題について
【第2段落】理由について(2つの理由)
【第3段階】対策について
【第4段落】結論(抱負)
Sさんの答案は、論構成として課題文の出題意図に答えておりとても良いです。
課題文が課している、
- 課題
- 理由
- 対策
の「記述必須項目」については漏れなく書かれており、そこは及第点。
※ただ、中身については問題あり。以下に問題点・改善点について解説
答案の「論構造」は良いです。
課題・理由・施策の三部構成になっていますね。
出題意図にしっかり答えられています!
ありがとうございます!
ただ、改善するところは結構あるから。
次に添削していきますね。
はい。
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Sさんの答案「第1段落」
Sさんの第1段落は次のようなものでした。
「近年、大都市一極集中によって、地方が過疎化するという問題が起こっている。しかし、昨年は、新型コロナウイルスの影響もあってか、当県に移住してきた人は千人を超えることとなった。リモートワークが進み、地方でも仕事ができるように変化したことから、「しごと」に対する不安は軽減したようにも思われる。さらに、活気のあるふるさとづくりを促すためにも、私は、住みやすい「まち」づくりについて、焦点を当てる。」
【195文字】
「課題」が明確でない第1段落
私が、Sさんの第1段落を読んで最初に気づいたことは「結局、Sさんの言いたい『課題』って何?どこ?」でした。Sさんの書いたものを読むと、
- 【課題】過疎化
- 【良い点】地方への移住者の増加
- 【良い点】リモートワークの進展
- 【良い点】地方で仕事ができる
- 【良い点】「しごと」に対する不安が軽減
とあります。
消去法で言うと「過疎化」のみが課題として残ります。あえて言えば「安心したまちづくりが課題」と読めないこともなりですが、明確にそのようには記述されていません。では、「過疎化」が本答案のメインテーマに位置付けられているかというと、それもそうではないようです。
第1段落で課題が明確に提示できなかったことが、今回のSさんの答案の中で最大の失敗となっています。その失敗を最後までカバーすることができず、悪い流れを引きずることになってしまいました。結果としては失敗答案になってしまっています。
第1段落を書いていてどうでしたか?
実は「課題」があまり思いつかなったんです。
思いついたのが「過疎化」だけでした…
その迷いが答案に現れてしまっていますね
正直、途中から何を書いているのか…
自分でもわけわかんなくなってしまって…
第1段落で「課題」をしっかり書けていたらもっと良い論文になったと思います。
少し厳しい言い方ですが「失敗論文」になってしまっています。
これが本番だったら…と思うと。
練習での失敗でホント良かったです。
「課題」が明確でない
↓
論文全体を破綻させてしまった(これは失敗論文です)
※課題が明確でないため、自分でも「何を書いているのか」分からなくなってしまっている
「行政」型の課題でも警察のことには触れよう
Sさんの答案を読んでいて気が付いたことがありました。それは、Sさんは警察行政職員を志望しているため、なんとか答案に「警察」のことを書きたいと思っているようだということです。
論文の中では「警察」に触れた方が良い答案になりますか?
地方創生がテーマですが何とか「警察」のことを書き込みたいとおもいました。
そこに気が付いたのは素晴らしいです!
地方行政型の論文課題でも「警察」のことに言及するのは「あり」です。
ありがとうございます!
地方行政型の論文にも「警察」に言及するのはアリ
※ただし無理に入れようとしなくてもよい。「警察」を入れない方が自然ならそれで全然OKです。
地方行政型論文に「警察」を書き込むときの注意事項
ただ、ここで問題が発生しています。Sさんは「警察のことを書き込みたい」と思うあまりそれに引きずられすぎて、かえって論文のバランスを崩しったというところです。言えば、無理やり警察にコジツケているように読めます。そこが読んでいても苦しく感じます。
言われてみると…
「警察のことは必ず入れなきゃ」と思っていました。
それでますます自分が何を書いているのか分からなくなりました。
答案の作りを壊してしまいそうだな…と思ったら無理に「警察」を入れなくても大丈夫ですよ。
それよりもっと大切なのは課題文が求めていることを書くことです。
Sさん答案「第2段落」+「第3段階」
ここでは、第2段落と第3段階を続けて一気に見てみます。
Sさんの第2段落
まず第2段落です。第2段落は次のような記述でした。
「安心した町づくりを課題として挙げた理由は2つある。1つは、当県では、十分な教育・3世帯家族、ワークライフバランスが整った、住みやすい環境が大都会と比べて整っている。この良さをさらに伸ばしていくことが大切だ。もう1つは、交通機関の延伸の影響によって、当県に訪れる人の数が増えるだろう。そういった方が当県を観光しやすい交通整備を行う必要がある。当県は車社会ということもあり、車を持っていない県外の人が増えることで、交通の活発化が課題になる。では、どういった取り組みを行うべきだろうか。」
【240文字】
第2段落にも不適当な記述がいくつも見られます。ただ、ここでその一つひとつを細かく指摘することはせず、ざっくりと結論だけ列記するのにとどめます。
【第2段落記述の問題点(列記のみ)】
- 「環境が整っている」こと…これは良い面であり、課題の理由になっていない
- 環境が整っているのと過疎化や安心な暮らしとどう関連するのか説明されていない
- 人が増える → 車を持っていない県外の人が対象ですか?県外の人に車を所有させるのが対策ですか?
- 交通の活性化で過疎化が解消できるでしょうか?単純すぎます。説得力が不足しています
- そもそも「交通の活性化」の定義は?
このように、話題があちこちに移動したり飛躍したりしています。しかも、「理由を書け」と問われているのに実際には理由が書かれていないです。これはいけません。もっとも表面上は「理由の1つ目は…2つ目は…」とあるのですが、実際には理由になっていないのです。
Sさん答案「第3段落」
続けて第3段落です。一気に見てみます。
「私は、地域の人とコミュニケーションを大切にしながら、周遊ルートを整備することが重要だと考える。観光客メインの整備をすると、住民とは騒音などのトラブルにもなりかねない。また、地元ならではの良いところを住民の意見から取り入れることができる。このように、行政だけでなく、県民を交えた開発会議を行うことで、さらに発展した街へと変化するだろう。また、地域活性化し人が集まることで、治安が悪くなっては、元も子もない。地域発展を進めながらも、治安維持を忘れてはいけない。」
【228文字】
ここでも細かい指摘を長々とは行いません。第3段階の問題点を列記するにとどめます。
【第3段階記述の問題点(列記のみ】
- 第1段落で課題が明確でなかったことで、何をするための施策かSさん自身が混乱している
- 仮に過疎化や安心な暮らしが課題なら、周遊ルートと開発会議でなにがどうなるのか不明
- 県外からの客を増やしたい、ということ?
- それと交通の活性化とどう関連?
- Sさんがずっと入れたい思っていた「治安維持」が突然出てくる
第2・第3段階を書いていてどうでしたか?
何を考えながら書いていましたか?
とにかく「字数を書いていただけ」でした。
何を書いていたのか自分でも覚えてないです。
最初に「下書き」は書きましたか?
いいえ。いきなり書き始めました。
やっぱり「下書き」は必要ですか?
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論文は暗記科目
警試塾では、「論文試験は暗記科目」とのコンセプトで答案作成を指導しています。ここでは詳細は割愛しますが、試験には制限時間があります。試験会場で問題文を読んで、1から考えて書き始める、というのは無謀です。それで良い答案を書くというのは私にもできないです。
「論文試験は暗記科目」
警試塾の一貫したコンセプトです
暗記する項目は次のポイントです。
- 答案を三部構成で書くということを暗記
- 序論のテンプレートを暗記
- 結論のテンプレートを暗記
- 本論の骨格テンプレートを暗記
- 勝負フレーズ20個を暗記
です。
また、制限時間内に良い答案を完成させるには、試験開始の合図とともに次の手順で作業を進めます。
- 暗記してきた勝負フレーズ20個を下書き用紙に一気にアウトプット
- 序論を下書き用紙に書き切る(完成まで書く)
- 結論を下書き用紙に書き切る(完成まで書く)
- 本論の骨格を下書き用紙に書く
- いよいよ答案を書き始める
になります。
ここでは詳細な記載は割愛していますが、完全版答案の書き方を1記事にまとめています。もし興味のある方はぜひご覧ください。警試塾が強くおススメしている記事です。
【論文作文基礎講座】第1回「答案の書き方」編(要領つかめば楽勝科目) ←こちらから
答案を書き始める前に必ず「下書き」を書こう
Sさんの答案にもどります。Sさんが答案作成で失敗した理由は、答案作成の前に下書きを書かなかったことにあります。例えると、地図を持たないで初めてディズニーランドに行く人のようです。どこに何のアトラクションや売店があって、そこに行くにはどう行けばいいのか分からない状態です。自分で自分をゴールまで導けないのです。
Sさんの答案は、下書きをしないで書いたことがバレバレです。下書きが十分に書けないということが、論文試験に対して準備不足であることを露呈してしまっています。
試験会場では必ず「下書き」を書こう!
テンプレートをそのまま使ってくれてOKです。
「対策」の書き方(どの論文でも心臓部)
課題文では「対策」を書くように求められています。Sさんは第3段階でそれを書きました。今回のように「課題を挙げて対策まで述べよ」という型の論文であれば、どの論文でも、対策を書く部分がその論文の心臓部になります。
そこで、心臓部と見られる対策の書き方について簡単に解説します。ポイントは次の点です。
【「対策」部の留意事項】
- 「一番重要な部分」と認識して、他のどのパートよりも厚く書く
- あなたの「警察行政職員としての姿」が採点官に見られている
- 対策は、可能なら1つだけではなく2つ以上書く
他のどのパートより厚く書く
本来、序論部や課題部はすべて、本論である対策部の「前段」に過ぎないです。対策を聞くためには課題を聞かねばなりませんが、大切なのは対策の方です。「他のどのパートより厚く書かなければならない」そう思って対策欄を書きましょう。
「対策」から「あなたの警察行政職員としての姿」が見られている
それはなぜかというと、採点官側が論文から確認したいのは「警察行政職員としてのあなた」「警察官としてのあなた」の姿だからです。対策はすでに警察本部の中で多くの職員が集まって知恵を出し合い考えています。目新しい対策案など書けるはずはない、というのは承知の上です。
だから、ここであなたは「警察行政職員としてこんな対策をしたい」と書くべきなのです。
対策は可能なら2つ以上書く
対策欄には、可能であれば1つだけではなく2つ以上書くと良いです。理由は2つあります。
- 1つに絞ると、その1つに深い理解が求められる
- 2つ以上に分散すると、その分たくさん書かなくて済む
- 複数書くと「よく勉強しているな」と思ってもらえる、かも
こういった効果があるからです。可能なら対策は2つ以上書きましょう。
「論文設計図」模範例(Sさんの答案をもとに)
私ならこの論文を書くときに、次のような設計図を試験会場で作ると思います。
【記述①】序論(80文字めど)
- 地方創生のカギは「人」の満足度
【記述②】課題(200文字めど)
- 治安に対する人の満足度低いとの結果
- 県と県警が協働して安全安心プログラムを策定し実行に移しているが…
- 県民アンケートで「治安が悪化した」9%増加
【記述③】理由1(80文字めど)
- 治安インフラは社会生活・社会発展のすべての基盤
- 事故や違反が少なく交通は安全、犯罪もすぐに検挙され、女性も子供も安心して暮らせる
- 治安がグラつけば、地方創生などの社会活動を安心してできない
【記述④】理由2(80文字めど)
- 安全安心に対する満足度は、生活の満足度に直結する
- 若者の県外流出を防ぎ、県内移住者の増加につながる
【記述⑤】対策1(150文字めど)
- 市民に会って直接ニーズや意見を聞く機会を増やす(各種教室の開催や警察官の巡回連絡)
【記述⑥】対策2(150文字めど)
- 警察広報を一層強化する
- 伝える内容は、事件事故などの情報提供と警察の活動をもっと県民に知ってもらうこと
【記述⑦】抱負(80文字めど)
- 最後は職員一人ひとりの働きがカギ
- 「私が警察行政職員になったら○○したい」
※これを試験開始後に下書き用紙に書きます。
※最初の10分間を惜しみなく下書きにつぎ込みます。
このように設計図を作ってからでないと、私も良い答案を書くことはできないです。あなたにも設計図を作ることは必要です。今後は、いきなり書きまじめるのではなく、しっかりと設計図を下書きに作ってから書き始めることを強くお勧めします。
【警察は「暗記」で勝つ】
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Sさん答案「第4段落」
最後に第4段落です。
「このように、様々な人が、主体となって、町づくりへと取り組んでいくことで、地方創生へとつながっていくと考える。」
【54文字】
Sさんは、この最後の部分で論全体をまとめています。まとめたこと自体はとても良いです。ただ、やはり第1段落の課題が不明確なのが最後までたたっています。課題が明確でなかったことで、この結論部に結びついていないのです。
「結局、この論文、何が言いたかったの?」と採点官は首をかしげるでしょう。つまり「この受験生は『基本的な文書』も書けないだろう」と見なされ、「論文試験は不合格」とシビアな判定を受けてしまいます。ここは本当に注意が必要なところです。
結局、この論文は何が言いたかったの?
基本的な文書も書けないの?
ただ、まとめ自体は良いです。本来ならこれで十分な記述内容です。あえて言えば、以上の記述内容を踏まえたうえで「警察行政職員になったら○○」に取り組んでみたい」といった抱負にまで触れられたら良いところでしょう。
うきはPSです。どうぞ。
警察行政職員に採用されたら最初はこういった警察署に配属になるよ。
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Sさんの答案講評
最後にSさんの答案の良い点と不十分な点をまとめたいと思います。
評価できる点
- 出題意図に従って「課題」「理由」「対策」を記述している
- 地方行政型の論文だが「警察」のことについて言及している
改善が必要な点
- 下書きをしていなかったため「行き当たりばったり」感がバレバレに ←【致命的】
- 第1段落の「課題」が明確ではなく論文全体を崩壊させてしまった ←【致命的】
- 多くのことを詰め込みすぎた
- 「警察」のことを言及したいとするあまり一貫性を欠いた
評価点 45点(合格レベルは60点以上)
45点とかなり厳しい評価となりました。現在の記載内容では合格圏内到達していないと思います。ただ最初に何を書いて良いかわからない初稿でこれだけ書けたところは評価できると思います。
あとは、答案の書き方テクニックを暗記して、試験本番でしっかり下書きができることにかかっています。下書きがしっかり書けるようになれば、本番で良い答案が書けるようになりますよ!
下書きマスターは論文マスターです。
論文作成、ご苦労様でした!
初めての論文はハードワークでしたね。
今回は不合格答案になっちゃいました…
これから不安ですが大丈夫でしょうか?
最初にしてはよく書けていたと思います。
心配しなくても大丈夫です!
足りないところを補っていければすぐ合格圏に入りますよ。
どれくらいで良い答案が書けるようになるでしょうか?
みっちりと集中勉強すれば1週間ほどで十分書けるようになります。
どう勉強するのが最短ルートですか?
「論文試験は暗記科目」です。暗記が最短ルートです。
暗記する項目は別記事をぜひ見てください。
暗記項目を簡単に言うと①答案の書き方②テンプレート③勝負フレーズ④模範答案の暗記です。
そのうち一番最初にやってほしいのは「模範答案」を暗記するまで読むことです。
わかりました。
論文試験を苦手科目にしたくないです。
塾長を信じてその方法で1週間勉強してみます。
論文試験を「得意科目」にしてしまいましょう!
勉強の仕方だけ分かれば誰でも得意科目にできる!
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模範答案
Sさんの答案を元にした模範答案を掲載します。
まだもし論文試験対策を始めていない人がいたら、この模範答案を覚えるくらいに読み込むことから始めると良いです。模範答案を読むメリットは、合格答案を肌感覚で体験できるからです。「こんな感じ」が分かれば、取っ掛かりができて時間短縮できます。我流で書くことを続けても不合格圏内から脱出できません。ぜひ模範答案を読み込んでみてください。
「私は、地方創生の鍵は「人々の生活満足度」、中でも特に社会生活の基盤に関わる「治安インフラ」の満足度を高めることが重要だと考える。以下、題意に沿って私の考えを論述する。
↑【ポイント】三部構成の「序論」部。「本論を導けるように」と意識して簡潔にまとめる。
私は地方創生の課題として、治安インフラの一層の整備を挙げたい。県と県警は現在協働して「安全安心プログラム」を策定し諸対策を行っている。しかし、先日の「治安に関する県民アンケート」では、この2年間で「治安が悪化した」と感じる県民は9%増加している。県警は、治安維持に懸命に頑張っておられるが、実際には治安に対する満足度は低下するという結果になってしまった。
↑【ポイント】「課題」を明確に示す。ここでは「治安インフラの整備」を課題としている。
私がこの課題を取り上げた理由の1つ目は、産業・物流・教育・文化・科学等、社会生活や社会発展のすべての基盤は、安定した治安インフラにあると考えるからだ。2つ目は、治安に対する満足度が低下して当県自体への満足度が低下すれば、若者の県外流出は一層加速し、県内移住者やⅠターン希望者は減少の一途になると考えるからだ。
↑【ポイント】「理由」を記述。「1つ目…2つ目…」と書くと採点官が読みやすい
治安インフラ対策として、私は2つの対策を提案したい。1つ目は、県警職員が市民と接する場をより一層増やすことである。具体的には、高齢者を対象としたデイケアや公民館での集会、自治会活動等を通じて特殊詐欺や防犯教室を開催し、県民から直接ニーズと意見を聞く機会を増やしそれを対策として反映させるのである。あわせて警察官の方による巡回連絡の強化もお願いしたい。2つ目は、警察広報の一層の強化である。私は大学で「人が『自分事』として認識しやすい広報」について研究したことがある。広報は「分かりやすさ」と「読み手目線」が重要だ。事件・事故の発生状況や実施中の警察活動について住民に情報提供することは、市民の治安満足度を大きく改善すると考える。
↑【ポイント】「対策」を記述。「対策」はどの論文でも心臓部。厚く書かなければならないところ
【ポイント】対策は1つだけはなく、できれば複数書くと良い。1つに絞ると深い理解まで必要になる
地方創生など行政の鍵は職員一人ひとりの働きにかかかっている。私が警察行政職員になったら、市民に寄り添い、日々研鑽して諸問題を解決できる有益で温かい職員になりたい。」
↑【ポイント】本論の内容を踏まえ「警察行政職員になったら」と抱負を付け加える
【805文字】
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使うと合格答案に変わる「パワーキーワード3選」
最後の最後に、この記事を最後まで読んで頂いたあなたにボーナスステージとして、論文試験合格のためのキーワードを3つご紹介します。早速ご紹介します。
- 「警察は市民の最も身近な存在」
- 「巡回連絡」or「市民から直接話を聞く」
- 「治安インフラ」
この3つです。詳細は別記事にまとめていますので、ここでは簡単に要点だけ解説します。
警察は市民の最も身近な存在
「市民の最も身近な存在」…これは、警察を、消防・自衛隊・海保などの他の公安職と「差別化」するのに役に立つキーワードです。消防・自衛隊・海保は、平時に市民と接することはほとんどありません。しかし警察は違います。警察は市民から話を聞くことから仕事が始まります。
その際、市民に寄り添うことが必要です。寄り添うとは文字通り寄り添うこともありますが、何よりお気持ちに寄り添うのです。相手が不安を感じているならその不安な気持ちに、相手が心配を感じているならそれがどう改善してほしいかという気持ちに…。
これができるのは警察だけです。公安職の中でもダントツで「感情労働」の職業です。「市民の最も身近な存在として安全と安心を守る」これが警察という職業のキーワードです。警察の職業理解に深くつながります。
この意味を込めて、論文に「市民の最も身近な存在」と書き込めると、あなたの答案が一挙に合格答案に変化しますよ。
「巡回連絡」(警察官用)or「市民から直接話を聞く」(行政職員用)
市民に身近な存在として市民に寄り添うための武器となるのが、警察官の「巡回連絡」です。巡回連絡は、警察官が受け持ちの住民宅をすべて1軒1軒訪ねて、困ったことはないか心配なことはないかを尋ねてまわる警察官の通常業務です。
まず「巡回連絡」という警察用語を知らない受験生も少なくないです。もしあなたが巡回連絡という用語を知らなかったら、いまこの場で覚えてしまいましょう。
警察官受験希望者が「巡回連絡」という単語の入った答案が書けていれば、まず方向性を間違っていないと思ってよいです。警察行政職員は巡回連絡という業務はないです。だから、警察行政職員が「巡回連絡を行って」という書き方は間違っています。
しかし、それによく似た書き方ができます。それが「市民から直接話を聞く」です。巡回連絡のエッセンスをそのままいただき、警察行政職員も警察官と同じ仲間として、同じ巡回連絡のスタンスで業務に当たる姿勢、そういったものが答案に書けると良いです。「巡回連絡」・「市民から直接話を聞く」と書くだけで、あなたの答案が合格答案へと変わりますよ。
「治安インフラ」(特に警察行政用)
今回の「地方創生」など、警察行政職員が地方行政型の論文の論文を書くときに使えるのが、この「治安インフラ」です。模範答案にも出てきていますが、地方行政と警察をつなげるのに都合が良いキーワードです。行政のことにも触れ、警察のことにも触れられるからです。
課題選定で困ったようなときには、「治安インフラ」という単語が使えないか考えてみてください。合格答案を書くための1つの有力なヒントになりますよ。
- 「市民の最も身近な存在」
- 「市民から直接話を聞く」
- 「治安インフラ」
次の答案練習のとき使えないか試してみます。
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以上で、今回の添削は終了します。
受験期間中は大変なことも多いです。不安や心配など感情が波立つこともあるかもしれません。
でも「警察行政職員試験に絶対に合格する!」強い気持ちを温め続けてください。試験合格のため、これからも一緒に学んでいきましょう。あなたが、晴れの「拝命式」「入庁式」を迎えられることを心からお祈りしています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
(完)
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